全国高校野球新潟大会を校内での新型コロナウイルス感染によって出場辞退した中越は3日に3年生の引退試合を行った。本田仁哉監督(44)に今回の体験を通して思うことを聞いた。

-引退試合開催は

本田監督 このままでは3年生の思いがおさまらない。少しでも気持ちを発散させてあげたかった。試合は公式戦最後の試合としてやろう、甲子園でやるはずだった野球を出し尽くそうと話しました。

-校内で陽性者が確認され臨時休業になり、大会規定で出場辞退したのが初戦3日前の7月13日

本田監督 こんなことがあるのかな、と。出場できずに終わることが受け入れられませんでした。全部員を集めて辞退を伝えたのですが、自分でも何を話しているのか分からないくらい。その後はグラウンドで自分の守備位置を整備する選手がいたり、私のところに思いを話しに来る子がいたり…。落ち着くまで2時間くらいかかりました。

-部員にも感染者が

本田監督 電話をすると電話口で泣いていました。「すみません」と繰り返すので、「誰も悪くないのだから、そんなことを言わなくていいよ」と。心の傷は相当深く、今後もケアしなければならないです。

-県大会決勝は

本田監督 映像で見ました。おこがましいですが、十分に勝負できた。その確認をしたかった。3年生にはそのレベルのチームになったことを誇りに思ってくれと話しました。1、2年生にはこれを受け継ごう、と。

-引退試合を終え

本田監督 部活動は何のためにやっていて、どんなゴールが部員のためなのか。部活動や大会の意義は勝ち負けを越えるところにあると実感しました。命、安全を大前提とし、彼らを舞台に立たせるか。その環境づくりは大人が知恵を出し合わなければ。大切なものを失った選手の姿を見ると、そこは大人が変えていかなければならないと思いました。【聞き手・斎藤慎一郎】