第103回全国高校野球選手権はコロナ禍でまた激震が走った。大会本部が17日、東北学院(宮城)が新型コロナウイルス感染にともなって出場を辞退すると発表した。大会本部は「医療機関の検査において、選手1人が陽性、保健所から選手ら3人とチームと大会本部との交渉などを担う朝日新聞の担当記者の計4人が濃厚接触者と判断されました。これらを受け、学校としては試合に出場することによって当事者が特定されるおそれがあり、生徒の将来に影響を及ぼす可能性があることを辞退の理由にしています」と説明した。

大会本部は午後7時40分から緊急会見を行い、八田英二会長(72)が「関係者の心中をお察しします。代表校2校が辞退となり、主催者として残念です」と肩を落とした。寝耳に水の辞退だった。本部が連絡を受けたのは午後6時10分。担当者は「宮崎商の件でもお伝えしたが、東北学院は個別感染と判断していた。試合へ、慎重に準備していくと考えていた。学校の判断は尊重するが慎重に検討していただければと話した。辞退という大変、重い話」と明かすが、東北学院の方針が変わらなかった。小倉好正事務局長(63)は「今回については学校の判断。尊重したい」と説明した。

東北学院は11日に愛工大名電(愛知)との1回戦に快勝した。今大会は初戦を勝ち上がったチームが翌日にPCR検査を受けることになっており、12日の検査時は全員が陰性だった。だが、13日と14日に選手1人が新型コロナウイルスのPCR検査で陽性と判定されたと発表されていた。13日に発熱し、同日夜と14日朝に検査を行って、ともに陽性だったという。15日の発表では地元の保健所から4人が濃厚接触者と判断された。16日夜、緊急対策本部の会議を開き、東北学院は個別感染と判断され、今後のPCR検査の結果を見て、21日に予定される松商学園(長野)との2回戦への出場を判断する方針だった。

この日は宮崎商が13人の陽性者が出る集団感染で出場を辞退。2校目の辞退になった。八田会長は「新たに大きな感染事例が起きたわけではない。大会を続けたいと考えている」と大会続行の意思を語った。