夏の宮城大会4強の聖和学園・阿部航大投手(2年)が、9回を4安打完封で勝利に導いた。磨き上げたキレのある直球を武器に、8奪三振もマーク。仙台一打線を102球で封じ込めた。

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堂々のマウンドだった。9回2死一塁、阿部航大が最後の打者を遊ゴロに仕留めた。散発4安打の完封劇で四球もわずか1。抜群の安定感で102球で試合を締めくくった。「試合中に修正しながら、投げられたことが良かった」と納得の表情を浮かべた。

磨き上げてきた直球が、勝負どころでさえ渡った。4回1死二塁で見逃し三振、5回1死二塁でも見逃し三振に斬った。奪った三振はともにスッと伸び上がるような軌道で、捕手のミットに収まった。「自分の武器は真っすぐ。球質を意識して練習に取り組んできた」と胸を張る。普段のブルペン投球から、球筋にこだわって1球1球を投げ込んだ成果が生きた。要所でスライダーもコースに決まり、8奪三振もマークした。

今夏の宮城大会では背番号「10」をつけて8年ぶりの4強入りに貢献。新チームで背負うのはエースナンバーだ。「エースとして苦しい場面での立ち居振る舞いは意識しています」。4-0の7回1死から味方の失策と左前打で一、二塁としたが、気持ちは切れない。後続を中飛、空振り三振。派手なガッツポーズはなく、淡々とベンチに戻った。「冷静に投げることを心がけている。相手にスキを見せず、チームに安心感を与えたい」と新エースは頼もしく有言実行した。

完封勝ちにも満足感は、一切ない。「まだベスト8。自分の力をマウンド上で発揮して、チームの先頭に立ってやっていきたい」。次なる戦いに向け、勝ってかぶとの緒を締めた。【佐藤究】