春夏合わせて44度の甲子園出場を誇る広島商が、20年ぶり22度目のセンバツ出場を決めた。日本高野連は28日、第94回選抜高校野球大会(3月18日開幕、甲子園)の選考委員会を開き、出場32校(一般選考枠28、神宮大会枠1、21世紀枠3)を決定。吉報を受け取った広島商は、創部123年の歴史があり、出場32校で最古。春夏通算で甲子園7度の優勝を誇る伝統校が、1931年(昭6)第8回大会以来となるセンバツ優勝へ、スタートラインに立った。組み合わせ抽せん会は3月4日に行われる。

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歴史も力に変える。広島商硬式野球部は1899年(明32)の学校創立と同時に創部された。昨秋の県大会で優勝し、中国大会準優勝。20年ぶりとなる春の甲子園行きの切符をつかみ取った。植松幹太主将(2年)は「粘り強さがチームのアピールポイント。7、8、9回の終盤の粘り強さを見てほしい。注目選手はいないが総合力で勝負したい。目標は全国制覇」。春に限れば91年ぶりの頂点を目標に据えた。

春を制し、刻みたい歴史がある。同校の正門を抜けてすぐ右手に「優勝記念」と彫られた石碑がある。春夏合わせて甲子園7度の全国制覇に加え、国体2度の優勝。合計9度、日本を制した大会が記されている。最も古いものは1924年(大13)の夏。創部123年を誇る同校野球部の偉大な歴史が見て取れる。

その石碑には10個の枠が用意されているが、10度目の全国制覇を示すスペースにいまだ文字は彫られていない。植松は「毎朝通学時、目に入る。伝統を力に変えたい。もちろんあそこを埋めるためにやってきた」。広島商OBで現在は同校の指揮を執る荒谷忠勝監督(45)も「自分が入学したときも顧問から話を聞いてあそこを埋めるために頑張ってきたが埋められなかった。今、指導者としてあそこを埋める立場として携われるのはありがたい」。

最後の全国優勝は88年夏の甲子園。34年間、広島商ナインが石碑に新たな文字を入れることを目標にしたが、手が加わることはなかった。広島商ナインの思いは1つ。全国制覇で“10番目”を埋める。【前山慎治】

◆広島商 1899年(明32)創立。商業科、国際経済科、会計科、情報システム科がある。生徒数は927人(女子542人)。野球部は1899年(明32)創部で部員は109人。甲子園出場は春22度目、夏23度。甲子園優勝は春1度、夏6度。主なOBは元広島達川光男氏、ソフトバンク柳田悠岐外野手。広島市中区舟入南6の7の11。栗田正弘校長。

◆広島商の甲子園成績 通算98試合=62勝36敗、勝率6割3分3厘(春39試合=19勝20敗、勝率4割8分7厘。夏59試合=43勝16敗、勝率7割2分9厘)