東海大菅生の1週間の強化合宿を、日刊スポーツのカメラが追った。年末年始を挟んで、2回に分けて行われた合宿。選手の汗、必死さに加えて、練習の合間に見せる笑顔。フィジカル面に加えてメンタル面の強化もテーマだ。18日から、YouTubeで「西東京・東海大菅生の冬合宿に1日密着」として公開されている。

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強化合宿の朝は早い。日の出とともに、坂道の続くランニングコース800メートルのダッシュから始まる。タイム設定もある中で、10本をこなす。コースを巡回する若林弘泰監督(55)が見るのは、選手の目だ。「どんな顔で、どんな目でやっているのかを見ています。きつくなる7、8本目に先頭で走る選手の表情は、徐々に変わってくる。顔つきが変わって、気持ちが変わっていく。逆に言えば、顔しか見ていないです」と明かした。

「いただきます!」。元気よく食事のあいさつをした東海大菅生のエースで、プロ注目右腕の鈴木泰成投手(2年)の表情が、どんどん険しくなっていく。体を大きくするため、強化合宿中は量の多い2食のみ。朝はパンで軽く済ませ、昼はご飯800グラム、夜は1000グラムと決まっている。2食とはいえ、午後の練習の合間には、お団子(1人3本)の捕食もあり、小食の選手にとってはかなりキツイ。細身の投手リーダーの鈴木泰にとって、食事も重要なトレーニング。ふりかけをかけたりしながら、1時間かけてなんとか昼食を食べきった。若林監督は「そんな時代じゃない、という意見もあるけど、疲れていても食べられないと夏に弱い。高校野球のメインは7、8月。炎天下で、熱中症の危険もある。食べられるということが選手の武器になる」と言う。

今年の練習始め、選手を集めたミーティングで監督は「日本一をとれる」と初めて伝えた。打線の中心となるのは、高校通算10本塁打で長打力が持ち味の小池祐吏内野手(2年)。「高校最後の年、最後の夏に日本一をとれるように頑張りたい。30本塁打は打ちたい」と目標を掲げる。DeNAの小池正晃1軍外野守備走塁コーチを父に持ち、「家族や若林監督とも話して、プロ野球を目指すと決めました」ときっぱり。父からは「プロは甘くない。人一倍努力しないといけない。しっかり練習を頑張れ」と言葉を贈られたという。

きつい強化合宿に取り組むのに、練習の合間にはよく笑顔が見えるとても明るいチーム。その理由を小池は「2年生を中心に声をかけあったり、1年生を引っ張って、協力して切磋琢磨(せっさたくま)しています」と教えてくれた。

体もメンタルも、一回り強くなった東海大菅生ナインが、頂点を目指す。【保坂恭子】