新型コロナウイルスの集団感染のため、3月のセンバツを出場辞退していた京都国際が今年初の公式戦で苦戦しながら、逆転勝ちした。2点を追う7回、2死一、二塁で辻井心捕手(3年)が左翼線に同点の適時二塁打を放った。平野順大外野手(3年)も右越え適時三塁打で勝ち越し。豪快に一挙4点を奪い、試合をひっくり返した。8回も2点を重ねた。

終盤まで劣勢に立たされていた。0-0の6回、先発左腕の杉原望来投手(2年)がつかまった。2死一塁で、中前打を中堅の森下瑠大投手(3年)がファンブル。一、三塁になると、連続タイムリーを浴びて2点を先制された。満塁のピンチで森下が救援登板したが、遊撃への適時内野安打で追加点を許した。後続を断ったが、重い3点を失った。

打線も日星の長身右腕でプロ注目の坂根楓河投手(3年)が投じる重い球質に苦戦。5回まで無得点だったが6回以降、反撃した。

今秋ドラフト候補の注目左腕、森下は先発せず、5番中堅でスタメン出場。6回途中から救援登板した。複数球団スカウトが視察に訪れていた。

つらい春になった。今春センバツの優勝候補に挙げられたが、開幕前日の3月17日に悪夢を見た。大会前のPCR検査で13人の陽性が確認され、出場を辞退。コロナ禍でのセンバツ辞退は史上初のケースだった。小牧憲継監督(38)が翌18日に談話を発表。チーム宿舎で辞退を伝え「みんなあまりピンときていないというか、あぜんとしているという表情。子どもたちが本当に頑張ってきた姿を見てきたので、心苦しかった。子どもたちになんて伝えたらいいんだろうと。軽々しく夏に向けて頑張ろうとは言えない」と、苦しい胸中を吐露した。

寮で生活していたナインはいったん解散。それぞれの実家に帰った。小牧監督は「そんなすぐに切り替えなくていい。ただ、矛盾するようですが、夏に向けて、すぐに走りださなければならない」とも言った。センバツは近畿地区の補欠1位校の近江(滋賀)が出場して準優勝。その戦いぶりに触れながら、時間をかけて立ち直っていった。

この日は失策がことごとく失点に絡み、堅守自慢の普段の試合運びをできなかった。それでも、終盤に底力を見せつけ、窮地を脱した。京都8強に進出。昨年、春夏連続甲子園出場の実力校の意地が光った。

 

この日の京都国際のスタメンは以下の通り。

1番 左翼 森

2番 二塁 金沢

3番 捕手 辻

4番 右翼 平野

5番 中堅 森下

6番 一塁 小山田

7番 遊撃 小林

8番 三塁 亀田

9番 投手 杉原