新潟明訓は帝京長岡に14-4の6回コールド勝ちで8強入りを決めた。3-3の3回1死一、二塁に4番・大滝快晴遊撃手(3年)が勝ち越しの中越え三塁打。打線に勢いを呼び込んだ。準々決勝は10日に長岡市悠久山野球場と柏崎市佐藤池球場で行われる。

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鋭い金属音を残した打球はグッと伸びた。3-3で迎えた3回1死一、二塁だ。カウント1ボールからの直球を大滝のバットが芯でとらえると、打球は中堅手の頭を越えた。2者をホームに迎え入れる勝ち越しの三塁打。島田修監督(56)は「かなりの逆風だったがよく伸びた。チームも盛り上がった」と4番の打撃を評した。ゲームキャプテンも務める4番打者が大勝への道筋を作った。

帝京長岡の先発、エース茨木秀俊投手(3年)は最速145キロを誇るプロ注目の速球派。大滝はバットをひと握り短く持って打席に立った。新潟明訓のユニホームには大きな誇りを持っている。「明訓のプライドと、胸のマーク(MEIKUN)のためにも、負けるわけにはいかなかった」。その思いをバットに込めて、7-3の4回2死三塁にも左前適時打。味方に2本塁打が飛び出したが「自分は4番打者というより4番目の打者」と忠実に役目を果たした。

球場入り前、午前7時から学校のグラウンドで30分間、打撃練習を行ってきた。ベンチ漏れの3年生が投げる球を、打席を前に置いてスイングを繰り返した。3年生たちの縁の下の努力に、大滝は「何としても打ってやろうと思った」。

新潟明訓は試合ごとにテーマを決めている。この日の4回戦のテーマは「ワクワク」だった。大滝は「(茨木投手は)対戦して楽しい投手だった」と言う。ワクワクと弾む心そのままの打撃で、昨秋4強の帝京長岡を打ち崩した。【涌井幹雄】