今春センバツ優勝校の大阪桐蔭が14安打9得点の7回コールド勝ちで、公式戦28連勝に延ばした。

大会初戦を大勝。西谷浩一監督(52)は「アンダースローで変則の投手。1回からしっかり打ってくれていい試合運びをしてくれました。『引きつけてベース板の上で打とう』と。しっかりやってくれた」と振り返った。

勝利に導いたのは今秋ドラフト候補の松尾汐恩捕手(3年)の豪快な場外アーチだ。1回1死一塁。和歌山商(和歌山2位)の下手投げ右腕木村健太郎投手(1年)に間合いを計って完璧なスイング。先制2ランが左翼後方の防球ネットを超え、青や茶色い屋根が並ぶ民家へと吸い込まれていった。だが松尾は着弾を見ていない。「あんまり打球を見なくて…。打ったらすぐ走者に切り替えるんです。打球を見ているスキがあったら、走者として走ります」とクールなセリフだ。

松尾は高校通算26本塁打目をマークした。NPBの複数球団スカウトが視察する前で、非凡な打撃センスを披露した。17日の春季大阪府大会決勝履正社戦でも左翼に本塁打。公式戦2試合連続アーチだ。この日対戦した木村は速球も110キロ未満ながら、変則右腕で鳴らし、8日の春季和歌山大会決勝でも智弁和歌山を相手に4回1失点と苦しめていた。やっかいな相手に強烈な先制パンチを見舞った。2回も4安打を集中して3点を追加。一方的な展開に持ち込んだ。

大阪桐蔭は今春センバツで大会史上最多の11本塁打を放つなど、投打の歯車がかみ合って優勝した。3安打の松尾は言う。「春夏の甲子園連覇をできる権利は自分たちだけです。もっともっと力をつけないと。力不足。発展途上のチームです」。心のスキはまるでない。猛打も健在。甲子園春夏連覇に向けて、力強く歩を進める。【酒井俊作】

 

<大阪桐蔭の公式戦28連勝>

21秋大阪○○○○○○○○

21秋近畿○○○○

21秋神宮○○○

22春選抜○○○○○

22春大阪○○○○○○○

22春近畿○