4年ぶりの春全道制覇を狙う札幌第一が滝川西を下し準々決勝に進出した。4点リードの7回2死一塁で8番渥美嘉成一塁手(3年)が右越えに公式戦初アーチとなる2ラン。ダメ押しとなる追加点で勝利を呼び込んだ。

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相手の反撃ムードを渥美がかき消した。6回に1点を返され、リードが4点に変わった7回2死一塁。内寄り低めの直球を振り抜いた。「感触はよかったが、ライトを見たら捕球体勢に入ったように見えた。でも打球は伸びてくれた」。風に乗った打球は右翼席へ。公式戦初アーチの2ランで追加点をもたらした。

7回、攻撃前の円陣で「取られた分、取り返すぞ」と自ら声を出し結果につなげた。「自分(のバット)で取り返せたというか、投手を助けられたというのはよかった」。菊池雄人監督(49)は「下位打線だが思い切りのいい子。いつも怒られてばかりなのに」と冗談めかしながらも、本人を前に「ナイスバッティング」とたたえた。

3月の遠征で関西の強豪校と練習試合を行い、大きな経験を得た。昨夏甲子園優勝の智弁和歌山との試合ではプロ注目の最速148キロ右腕、武元一輝投手(3年)から右越えに高校初本塁打を放った。「自信になりました」。夏の甲子園3度制覇の名門の雰囲気も肌で感じた。「1球の重みに対して全員が徹底している。これが全国トップレベルの野球か、というのを感じた」と刺激された。

4年ぶりの春制覇へまずは初戦を突破した。26日の準々決勝で今春センバツ出場のクラークと激突する。菊池監督は「1つでも多く試合をしたい」。渥美は「家に帰って素振りします」と準備を整え、強敵撃破に挑む。【山崎純一】