星陵のエース稲葉亜蘭(あらん、3年)が、快進撃を呼び込む。186センチの長身から投げ下ろす最速140キロの直球に、決め球のフォークも切れ味十分の右腕。集大成の夏に向け、「1つでも多く勝ちたい」と短い言葉に力を込めた。

OBで元プロ野球・横浜(現DeNA)投手の斎藤肇監督(48)から助言を受け、進化した。新たにカーブを習得。力の配分も「常に全力」から「7~8割」に抑え、制球も安定した。5日に行った沼津東との練習試合では、2失点完投。指揮官から「状況に応じた投球ができるようになってきた」と評されるなど、順調に調整を続けている。

入学から2年半、富士市の自宅から富士宮市の学校まで、往復28キロを自転車で通学してきた。「心が折れそうになりながら、こぎ続けた。忍耐力がついた」。“地の不利”を生かし、心も鍛えた。打順も4番が有力で「打撃でもチームを引っ張りたい」。エースで主砲。文字通り、投打でけん引する。【前田和哉】

◆稲葉亜蘭(いなば・あらん)2004年(平16)6月12日、富士市生まれ。小1から富士見台少年野球団で野球を始め、中学時代は静岡蒲原リトルシニア。右投げ右打ち。家族はブラジル人の父、母、兄、弟。186センチ、80キロ。