聖地への道も1勝から-。今春県Vで第1シードの仙台育英が、柴田との「21年センバツ出場校対決」を6-4で制した。尾形樹人捕手(2年)が勝ち越し適時打を含む3安打1打点。守備でもリードで投手2人を引っ張り、初戦突破に貢献した。揺らぐことない「日本一」という目標へ、チーム一丸で長い夏にしてみせる。

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負けたら終わる夏。9回、2点差まで迫られたが、反撃を断って勝利した仙台育英ナインは安堵(あんど)の表情を浮かべた。ベンチ入りの20人は、3年生11人と2年生9人。実力校から「夏1勝」をつかみ、応援席の控え部員らを見上げ、笑顔を見せた。須江航監督(39)は「2年生が多い、若いチームなので、良いプレーと悪いプレーの幅がある。初戦から素晴らしい試合をさせてもらって、いい出だしができて良かった」と振り返った。

尾形の一打が試合を決めた。2回の今大会初打席は右前打。同点の6回1死三塁で迎えた第3打席は2球で追い込まれたが、カウント2-2から粘って8球目。外角直球を捉えた打球が左前で弾むと声を上げた。「とにかく呼び込んで左方向。須江先生がベンチから自分に声をかけてくださったので、強く意識して打席に入ることができた」。8回は右中間へ二塁打。いい感触のまま2回戦に進んだ。

公立校の意地に昨夏の苦い敗戦の記憶がよみがえった。4回に長打で2-2の同点に追いつかれ、球場の空気が一変したという。「『もしかしたら勝つんじゃないか、逆転するんじゃないか』という、去年の仙台商戦と同じ雰囲気があった」。そんな思いが頭によぎっても前を向いた。「とにかく落ち着いて冷静に」。4回途中から救援登板した古川翼投手(3年)を支え、スコアボードに「0」を並べた。

14日の2回戦は、昨夏4回戦で敗れた仙台商との“リベンジマッチ”となった。「日本一を目指しているが、そこばかり見ていたら足をすくわれるので、とにかく一戦必勝。自分たちの野球、持ち味を出せるように頑張りたい」。甲子園に届かなかった先輩に勝利を報告し、ライオン軍団がさらに勢いを加速させる。【相沢孔志】