第104回全国高校野球選手権(8月6日開幕、甲子園)の北北海道大会が14日、旭川スタルヒンで開幕する。13日、出場全16校が公式練習を行った。3年ぶり4度目出場の旭川明成は15日の第2試合で同地区の旭川東と対戦する。16チームの中で地区大会唯一の2ケタ10盗塁を記録。上位打線には俊足打者がそろうなど、走り勝つ野球で初の聖地切符をつかみにいく。

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旭川明成が得意の足を使った野球で走り勝つ。地区予選では2試合を戦い、北大会出場16チーム中唯一の2ケタ10盗塁をマークした。千葉広規監督(45)は「相手バッテリーとの勝負になるが、チャンスがあれば仕掛けていきたいなというのはずっとこのチームができた時からの目標だった。なかなかそうチャンスが来るかはわからないが、積極的にいきたいというのはある」とビジョンを描いている。

1番石田隼太中堅手(3年)を中心に、2番植木玲陽三塁手(2年)、監督の長男で3番の千葉隆広右翼手(2年)ら上位打線には特に俊足がそろっている。ほかのレギュラーメンバーやベンチ入りの選手を含め例年のチームと比較しても足の速い選手が多い。

昨秋新チーム結成時から守備とともに走塁に力を入れてきた。同校では50メートル走などの一般的な計測よりも、一、二塁間の二盗、二、三塁間の三盗のタイムを計る。塁間の距離27・431メートルを、レギュラーの多くは3秒台前半で走る。3秒5を超える選手もいたが、昨秋から練習を重ね、平均で0・2秒ほどタイムを縮めるなど、ほとんどの選手が3秒台中盤で走る。俊足で鳴らす阪神近本光司外野手の一、二塁間タイムが3秒1、元阪神で5年連続盗塁王だった赤星憲広氏の全盛期が3秒2だけに、他チームには脅威となる。

走る野球を強化したきっかけは、打力より走力が勝るという千葉監督の考えからだ。「波がなく走塁が一番安定している。打って打って点数を取るというのはなかなか」。練習では毎日盗塁のタイムを計り記録に残すが、計測するのは1日1本のみ。集中力を研ぎ澄まし、土壇場の場面で盗塁を仕掛けられるための訓練もしてきた。

初戦は大会2日目、15日の第2試合で旭川東と対戦する。昨秋そして今春はともに勝利している相手に指揮官は「気合を入れてかかってくると思うが、9回を終わって1点多ければいい。うちはいかに冷静にできるのかがポイントになる」。創部から今年で24年。初の甲子園を狙って走る。【山崎純一】

○…旭川明成はこの日、地元の慣れ親しんだ球場で行われた20分間の公式練習のほとんどをシート打撃に費やした。ベンチ入りの18人全員が打席に立ち実戦を想定した練習を行った。千葉監督は「昔の記憶をたどると、甲子園でもそういうチームがあったなと思って、いいなと。スタルヒン球場で(打撃投手の)打ちやすいボールを打つのもなかなかできない経験なので」と意図を明かした。