今春県王者の花巻東が、花巻農との初戦を7-0の7回コールドで制し、16強入りを決めた。初戦前の選手変更でベンチ入り20人に滑り込んだ、吉田幸永投手(3年)が先発し、6回2安打無失点。打撃陣では5番小沢修外野手(3年)が、高校通算16号となる2ラン含む3安打3打点と躍動した。16日の3回戦では一関一-一関二の勝者と対戦する。

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メンバー外から一転、「開幕投手」を務めて快投した。初戦前の選手変更で背番号「7」を背負う吉田が、直球主体に6回2安打無失点。「低めから浮き上がるような投球を心がけて、うまくできたと思う」。自己最速を1キロ更新する142キロもマーク。2番手の熊谷陸投手(2年)とともに7回完封リレーを飾った。

「自分のピッチングができたのは、チーム全体が点数を取ってくれたおかげなので、まずはみんなに感謝したい。応援に来てくれた方、控え選手のためにも頑張らないといけないと思っていたので、初戦に勝てたことがうれしい」

元外野手らしく打撃も光った。1-0の2回1死三塁で中前適時打。その裏では四球を起点に1死二、三塁と、この日一番のピンチを招いた。それでも、一ゴロで2死として、後続をカウント1-2からの5球目、フォークで空振り三振に封じた。

今春は県大会地区予選で登板したが、本大会、東北大会はベンチ入りメンバーを外れた。当初は今大会でメンバー外も、巡ってきたチャンスをものにして好投。吉田とバッテリーを組んだ田代旭捕手(3年)は「今年の夏にかける思いを感じたボールが1球1球来て、受けていて気持ち良かった」と全65球をかみしめた。

3年ぶり11度目となる夏の甲子園に向けて好スタートを切った。「先を見ずに1戦1戦しっかり戦って、メンバーに入れなかった選手の分まで頑張りたい」と吉田。「復活当選」した背番号「7」が、花巻東投手陣の切り札になる。【山田愛斗】