北北海道大会は創部120年目の旭川東が旭川明成を4-1で下し、00年以来22年ぶりの勝利で8強に進出した。同点の7回2死三塁で、主将の今津慶介遊撃手(3年)が先制の左前適時打。この一打から4連打で4点を奪い、昨秋、今春と地区予選で敗れた相手にリベンジした。南北海道大会は16日、札幌円山で開幕する。

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21世紀初の北大会勝利を跳びはねて喜んだ。勝利の瞬間、今津主将は本塁へ猛ダッシュ。ジャンプして秋山捕手とハイタッチし、歓喜の雄たけびを上げた。昨夏、北大会初戦で敗れたのが、この日と同じ7月15日。「去年負けた日に勝てた。みんな一丸で。そういう思いをぶつけることができた」と振り返った。

リーダーとして貴重な先制打を放った。7回2死三塁で先制の左前適時打。この一打が口火となり、この回大きな4点を奪った。今春地区予選で旭川明成と対戦した際は、右越え本塁打。「引っ張るイメージを持っていると思ったので、外に来るかな」と、外角の変化球を左に運んだ。チームとしても昨秋、今春と敗れた相手。「先発投手はコースをついてくる。待たずに積極的に。他の投手は速球派。長打を狙ってしっかり振っていこう」と狙いを徹底し“三度目の正直”につなげた。

父寛介さん(45)が旭川市長、祖父寛さん(75)は元衆院議員という政治家一家。佐藤俊行監督(43)は「指導者の言葉をしっかり代弁してくれるし、その上で自分の意見も言える。試合では勝負強い。素晴らしい男」と言う。旭川龍谷の内野手だった父寛介さんは3年夏の北大会初戦で敗れており、出かける前「夏は何が起こるか分からない。後悔はするな」と激励を受けた。今津は「去年は初めての北大会で浮足立っていた。後悔した経験を踏まえ、集中して試合に入れた」と、父の助言を生かした。

この日は全校応援。野球部のために、模試の日程を1日前倒ししての実施だった。「部活を引退し、勉強が忙しい同級生も来てくれた。OBの人たちも応援してくれている。甲子園に行かないと。1勝では人の記憶には残らない」。旭川中時代から全国最多の決勝敗戦10度。今度こそ勝ち上がり、負の歴史に終止符を打つ。【永野高輔】

◆旭川東の北北海道大会 決勝には10度出場(前身の旭川中5度含む)で未勝利。甲子園未出場校としては全国最多の地区大会準優勝を数える。最後の決勝進出は69年。ベスト4は5度。

<旭川明成・三上 7回に…>

旭川明成は昨秋と今春に勝利した旭川東にリベンジされた。先発右腕の三上は得点圏に走者を背負いながらも6回まで無失点と粘ったが、7回2死三塁で今津に左前へ先制打を献上。直後に降板となった。「全部出し切れた」。卒業後は進学し将来は航空整備士を目指す。「これから人生は長いのでこの経験を生かして、しっかりやっていきたい」と次に目を向けた。