<シン・うるうるマン:旭川龍谷・出雲崎綾投手(3年)>

9回137球、13奪三振の力投も、勝利にはつながらなかった。この日が18歳の誕生日。初回1死一塁で回ってきた第1打席前には、ハッピーバースデーの曲で祝福された。「誕生日だったんで、勝てるかなと思ったんですけど。そんな簡単じゃないですよね」と目を潤ませた。

新チームになって昨秋、今春と連続して地区初戦で公立校に敗退。今春から投手に専念も、結果はともなわなかった。最後の夏に向け「動画で研究されるかもしれないから」と実戦で使っていなかったチェンジアップ、カットボールの精度を磨き、配球に加え、地区予選を突破。この日は最速143キロの直球に「3日前に覚えた」フォークも駆使し、8回までは毎回奪三振と、爪痕を残した。

9回に2点を失うも高橋健監督(50)は「代える気はありませんでした。本人もその気はなかったと思う」。出雲崎は「8回から腕が振れなくなってきたけど最後は気持ちで投げました。みんなも声をかけてくれて。励みになりました」。整列の際は最後に投げ合った白樺学園の曽我に「頼んだぞ」と後を託した。85年以来37年ぶりの夏の甲子園には届かなかった。「本当に終わったのかな。何か実感ないです」。将来は大学に進学し力を付け、目標のプロを目指す。【永野高輔】