盛岡市立がコツコツ加点し、雨中のゲームを制した。シード校の水沢工を9-2の7回コールドで破り、3年ぶりに16強入り。1年夏から主力の8番米田藍斗内野手(3年)が、決勝2ランを含む3打数2安打2打点と存在感を発揮した。岩手大会でこの日予定されていた4試合は雨天順延。決勝戦の日程も22日から23日に変更された。

盛岡市立が誇る「野球センスの塊」が、決勝弾となる公式戦1号を決めた。雨天の影響で当初予定から1時間34分遅れで始まった一戦。1-1の2回1死二塁、米田は1ボールから真ん中内角寄りのカーブを、コンパクトに捉えた。左翼への勝ち越し2ラン。「自分が大会で1号を打ったうれしい気持ちよりも、チームに貢献できたという気持ちが強かった」。167センチ、67キロと小柄だが、4回には中越え三塁打。持ち味の長打力を見せつけた。

2週間前の練習試合でアクシデントがあった。ヘッドスライディングした際に左手親指が「変な方向にいってしまって」と脱臼。今大会まで十分な練習は積めず、テーピングをしながら1、2回戦に臨んだ。「自分がどう貢献するかを考え、きれいなヒットではなく、チャンスを広げるバッティングをしようと思っていたら、ああいう結果に」と謙遜しながら振り返った。

本調子ではない中で伊藤奨悟主将(3年)の助言も大きかった。3番打者で米田よりも先に相手投手と対峙(たいじ)。「変化球でカウントを取りにくる」と声かけしてもらった上で「変化球に対する打ち方などのアドバイスをくれました」。カーブを捉えた1発は、そのたまものだった。

1年夏から主力で遊撃手と投手を兼任する。本来なら3番か5番に座る中心選手だが、今夏はけがの影響も考慮し、下位打線でプレー。3回戦に向けて「1個1個やるべきことをやって、競り勝つ野球をしたい」。今できる自分の仕事に徹する。【山田愛斗】