北北海道では5年ぶりの甲子園を狙う滝川西が延長14回タイブレークの死闘の末、網走南ケ丘を3-1で下し、初戦を突破した。14回無死一、二塁で3番岩崎結哉主将(3年)が勝ち越しの適時打。打った直後に全身をつらせながらも魂で一塁へ到達し、主将の意地を見せ勝利をもぎ取った。

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何度転んでも起き上がって前へ進んだ。主将の意地だった。延長14回タイブレーク無死一、二塁で3番岩崎に打席が回った。カウント1-1から振り抜いた打球は三塁線を鋭く破る勝ち越しの適時打。だが直後にアクシデントは起こった。

一塁へ走り出したが両足と両脇の下がつり転倒。手と足を地面につけ何度も転んでは立ち上がり、なんとか一塁ベースに手を伸ばし到達。直後に突っ伏し、担架が向かった。小野寺大樹監督(46)は「一塁へ向かう姿勢は感動しましたね。転んでも、転んでも必死に向かう気持ちというのが」と心を打たれた。

2回2死二塁から7番兵庫の中前適時打で先制したが4回に追いつかれた。5回以降両チームともに得点を奪えず延長戦に突入。12回裏にはサヨナラのピンチを切り抜け今大会初のタイブレークに持ち込んだ。

手に汗握る展開。延長に入ってから選手たちの体に少しずつ異変が起こり始めた。延長14回の攻撃前、二塁走者の1番北が足をつらせてベンチへ。決勝打を放った岩崎が倒れ、1死一、二塁から一塁へのゴロを放った斉藤も足をつらせ倒れ込んだ。試合後小野寺監督は「実は足がつって代わった子以外も、ほぼみんなつっていました。ピンチを何回もしのいで、全員で戦ってくれた勝利。本当に選手に感謝したい」と口にした。

岩崎は試合後1度は整列に加わったが、自力で立てず再び退き、理学療法士の入念なストレッチとマッサージ、アイシングを受けた。満身創痍(そうい)になりながらも、キャプテンとしての責任を果たした。

チームが狙うは17年以来5年ぶりの聖地。昨夏は4強止まりだった。甲子園へあと3勝。兵庫は「明日も簡単な試合にはならない。1つ1つていねいにプレーして、スタンドとベンチと一体になっていい試合ができれば」と気を引き締めた。【山崎純一】