<高校野球京都大会:京都外大西6-1塔南>◇20日◇4回戦◇わかさスタジアム京都

「塔南」の60年目、最後の夏のマウンドはエースが投げ抜いた。

学校再編で来年度から校名が「開建」に変わるため、塔南としては最後の夏だった。1963年の創立と同時に硬式野球部が始動。甲子園出場はなかったものの、直近では10年秋に京都を制するなど府内屈指の公立校だった。

最後まで腕を振り続けたのは背番号「1」を背負う野原元気投手(3年)だ。9回にダメ押し3ランを被弾した右腕から笑みがこぼれたのは真剣勝負の裏返しだろう。1-3の9回に安打と四球で1死一、二塁とし、高校通算50発超の注目スラッガー・西村瑠伊斗(るいと)投手(3年)を迎えた。

「一、二塁になって(西村が打席に入る前に)『3ラン打たれるなぁ』という気がした。オーラというか、雰囲気というか」

本能で痛打を感じ取ったが、勝負を選択。カウント1-1から「内角で詰まらせるつもりで」投じたカットボールが高めに浮き、右中間へ3ランとされた。「勝負したかった」と選んだプロセスに悔いはない。

3つ上の兄・大地さん(20=びわこ成蹊スポーツ大)を追って塔南に入学した。

「最後に塔南の名前を甲子園に連れて行きたかった」

創部60年で初となる甲子園の土は踏めなかったが、最後まで投げきった。今後は大学に進学し夢のプロを目指すという。

同校を20年から指揮を執る野口知紀監督(44)は「塔南高校という思いは変わらない。新校となるが、このまま思いはつないでいきたい」と伝統を継承していく。

塔南で戦った諸先輩の魂は「開建」に変わっても生き続ける。【前山慎治】

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