悲願達成へ、あと2勝だ。宇都宮南(栃木)が15安打10得点で青藍泰斗に打ち勝ち、14年ぶり4強を決めた。

7回にソロ本塁打を放った3番の杉山瑛翔内野手(3年)は「チーム内で『打倒・私立』と話してます。私立に勝たないと、上には行けませんから」と、次の佐野日大戦へ向け力強く話した。10連覇中の作新学院を筆頭に、近年の栃木は私立が上位を占める。独自大会だった20年をのぞけば、13年以降の決勝進出は私立が独占。今大会4強に唯一残った公立としても負けられない。

OBでもある荒井浩司監督(56)の“熱”が効いた。相手先発は1年生右腕。「くっちゃうべ!」とハッパをかけると、初回に打者10人で6安打6得点。二盗を3つ決め、いずれも生還。一、三塁を二、三塁にして内野を前に出させ、ヒットゾーンを広げて確実に点を奪う。表の1失点を簡単にひっくり返した。「第1ストライクから当てる打者は怖くない」。監督の教えを各自が守り、振り切った。15安打のうち強襲内野安打が3つ。終盤に追い上げられたが、初回の6点が大きかった。

甲子園は春夏通算7度。初出場の83年夏、エースとして3回戦まで進んだのが荒井監督だった。杉山は「次は監督として行っていただきたい」とナインの思いを代表した。【古川真弥】