北北海道大会準決勝で、旭川東が17年優勝の滝川西を7-5で下し69年以来53年ぶりに決勝進出した。2番丹代暁(あき)二塁手(3年)が、初回1死から右前打で出塁し先制の生還を果たすなど2安打1盗塁。打って走ってチームをけん引した。決勝は、91年の旭川工-旭川東栄以来31年ぶりの旭川地区対決。決勝進出11度目での初優勝を狙う旭川東と、10度目の夏切符を狙う旭川大高が激突する。

経験豊富な背番号4のチャンスメークで、旭川東が約半世紀ぶりの決勝に駒を進めた。丹代は5点リードの5回無死、先頭で中超え三塁打を放ち出塁すると、1死三塁から神原京の左犠飛で雄たけびを上げながら生還。出塁3打席すべて得点につなげ「2番としてつなぐ役目に徹した。次もしっかりチームに貢献したい」と謙虚にふりかえった。

2年前の苦い思い出がバネになっている。唯一1年夏からレギュラーで出場。コロナ禍で北海道高野連独自開催だった20年夏、旭川大高との地区代表決定戦では、8回まで9-8とリードも、9回1死一塁で三塁を守っていた自身の送球ミスでピンチとなり、直後に4失点し、逆転負けした。「僕が3年生の夏を終わらせてしまった。でも先輩はみんな『頑張れよ』と励ましてくれた。あの失敗を取り返すためにやってきた。何としても甲子園に行きたい」と気を引き締めた。

主将の今津遊撃手と並ぶ攻守のキーマン。佐藤俊行監督(43)は「今津が出塁できないときは丹代。いろんなことができる選手」。昨秋まで丹代が1番遊撃で今津が2番二塁も同監督は「気が付いたら勝手にポジションを変えていた」。春から今津が1番遊撃で、丹代が2番二塁。佐藤監督は「彼らのアイデア、感覚をつぶしたくない。はまっているのでこのままでいい」。自主性を尊重し、ついに王手をかけた。

旭川大高の山保、近藤は中学時代在籍した旭川北稜シニアのチームメート。「こういう舞台で昔の仲間と対戦できるのはうれしい。全力でいく」。最初に決勝進出した1926年(大15)から96年、決勝敗退10度。聖地目前に涙した多くの先輩たちの思いを背負い、難敵に挑む。【永野高輔】