聖望学園(埼玉)が、ノーシードから147チームの頂点に立った。昨夏王者の浦和学院に1-0で勝利し、13年ぶり4回目の優勝を飾った。3回に菅野天空(そら)内野手、大橋優人内野手(ともに3年)の1&2番コンビの連打で先制。岡部大輝投手(3年)が9回を4安打完封し、1点を守りきった。甲子園も、チャレンジャー精神を忘れず笑顔で楽しむ。

聖望学園ナインは、最後まで1歩も引かなかった。緊張感が高まる9回1死一塁のピンチ。内野陣は声をかけ合った。「攻めよう!」。仲間と目が合えば、自然と笑みが浮かんだ。守備でも、弱気にならずに前へ。チーム内で守備に定評のある大橋がバウンドの高い遊ゴロを見事にさばいて併殺。みんなで取った1点を、みんなで守った。就任37年目の岡本幹成監督(60)は、選手の手によって大宮の空に舞った。「信じられないです。夢のよう。選手が頑張ってくれた。感謝のひと言しかない」。

3回、先頭の菅野が三塁打でチャンスをつくった。無死三塁で、大橋がカウント2-2から粘った7球目、待っていたスライダーをしっかりとらえて右前打を放ち先制。菅野は「興奮して覚えていません」。大橋は「ベンチを見たら、みんなが喜んでいてうれしかった」と笑った。

掲げるのは「つなぐ野球」。今春の県大会1回戦で市川越に6-7で敗れ、攻撃を見直した。犠打やバスターをひたすら練習した時期もあった。今大会も、エンドランやスクイズが重要な場面で効いた。東山陽紀外野手(3年)は「自信を持てるくらい、練習してきた。練習通りにすればできるとみんな思っている。練習をしてきた成果が出ました」と胸を張った。

安打を放った選手の「スペシウム光線ポーズ」で、ベンチもスタンドも盛り上がった。ノーシードから臨んだ今夏。雰囲気を上げるため、三井颯大内野手と双木琉斗(なみき・りゅうと)外野手(ともに3年)のムードメーカーコンビが、ボクシング・那須川天心がリング上で決めるポーズを取り入れた。「真(しん)・那須川天心ポーズ」と名付けて披露し、優勝までかけあがった。菅野は「聖望の強みは、いつも楽しく笑顔でいること。甲子園も笑顔でプレーしたいです」。聖地も、みんなで楽しむ。【保坂恭子】