日本文理は11-6で北越を破り、3大会連続の決勝進出を決めた。主将の6番竹野聖智捕手(3年)が6-4の6回表2死三塁から右中間へチーム7点目の適時二塁打と、要所で仕事をした。決勝は28日午前10時からハードオフ新潟で行われる。

盛り上がる三塁側、日本文理ベンチのチームメートの視線を感じながら、二塁に到達した竹野は淡々とユニホームのほこりを払った。6-4と2点リードの6回表2死三塁、北越の2番手左腕、中里優暉(3年)の直球を右中間に運ぶ。「タイムリーがほしかった」。がむしゃらにたたき出した1点が、結果的に決勝点になった。

2回表に4点を奪うが、4回裏に追いつかれた。5回に1番井口虎汰郎(3年)の中前適時打と敵失で2点を勝ち越すが、安心できる流れではなかった。「なかなか突き放せない」。竹野も重苦しさを感じていた。ただ、「慌てたりはしなかった。冷静だった」と勝負どころは逃さない。鈴木崇監督(41)も「いいところで加点してくれた」と主将の一打を評価した。

北越の左腕対策はしてきた。特に左横手の中里は今まで対戦したことのないタイプ。ベンチに入れなかった控えの3年生左腕投手、石原啓夢、竹内大希が打撃投手を買って出た。竹野は試合前日の25日も2人を相手に打ち込んだ。「あの場面で打てたのは石原と竹内のおかげ。3年生の力」。チームの後押しを受けた一打に胸を張る。

日本文理は昨秋、今春と県大会準優勝。昨夏の甲子園出場後、竹野たちの代になってからは優勝がない。「三度目の正直。チームで勝ち切るためにも1球に集中する」。現チームでの県初制覇が3大会連続12度目の甲子園に直結する。主将がチームを引き締め直す。【斎藤慎一郎】

《《■エース田中、自己最速150キロ

日本文理のエース田中晴也(3年)は7回を7安打5失点、149球の熱投だった。「スライダーが甘く入った」と4回以降に失点したが自責点は1。2回裏のこの試合の32球目には自己最速の150キロをマーク。「(150キロは)目標にしていたが、最少失点に抑えなければ。悔しいです」と話した。決勝は本格派の“双璧”帝京長岡・茨木秀との剛腕対決の可能性が高いが「チームとして帝京長岡に勝つ」とエースとしてナインの結束の中心になることを誓った。