夏の甲子園の大会本部が6日、臨時の運営委員会を開き、新型コロナ感染拡大予防ガイドラインを一部改定したと発表した。「代表校の大会参加可否の判断基準」を改正した。

これまで集団感染の場合、日程変更で対応する規定だったが、新たに試合前の72時間以内に陰性と確認された部員なら誰でも、入れ替えによって出場可能になる措置を導入。集団感染のケースで事実上、出場辞退に追い込まれる可能性が低くなった。

コロナ禍では、宿舎に同行する最大35人のなかでメンバー入れ替えが認められていた。主催する朝日新聞社の山本秀明高校野球総合センター長は「35人に限らず、それ以外の選手も72時間以内の陰性がクリアされれば試合に出場できます」と説明。野球部員全員がメンバー入れ替えの対象になるため、一気に救済の幅が広がった。山本氏は「甲子園で試合をしてほしい主催者の気持ちは変わりません」と強調。全校が出場するためのウルトラCになる。

5日に集団感染と判断された県岐阜商は救済される格好だ。7人の感染が判明し、この日もチーム内で感染が拡大。9日に社(兵庫)と対戦予定だが、部員は88人おり、極論すれば、PCR検査で陰性の選手から18人を登録することも可能になった。

昨夏は宮崎商、東北学院(宮城)が大会中に出場辞退したが、不戦敗の悪夢も消えることになりそうだ。今大会前も浜田(島根)帝京五(愛媛)有田工(佐賀)九州学院(熊本)の4校が集団感染と判断。複数の体調不良者がいる九州国際大付(福岡)と県岐阜商を含め、6校が開会式を欠席した。高校球児を救う秘策で、コロナ禍の猛威を乗り切る構えだ。【酒井俊作】