社(兵庫)が夏の甲子園初出場初勝利を飾った。コロナ集団感染で登録メンバーが大幅に入れ替わった県岐阜商に対し、全力でプレー。それでも相手への敬意を忘れなかった。

夏の甲子園初出場初勝利を飾ったが、試合終了の瞬間、社ナインは喜びを内に秘めた。主将の後藤は「相手側の立場なら苦しい状況。相手への敬意を忘れずに、対戦できる喜びを感じてプレーしていた。そのへんは試合前にチームで話し合っていた」と明かす。コロナの集団感染で登録メンバーを大幅に変更した相手を気づかった。校歌が流れた時、山本巧監督(50)は「県岐阜商さんの10名の選手が、自宅待機、静養を余儀なくされていることが事実としてありますので、そのことを考えていました」と神妙な表情を見せた。

甲子園初出場となった04年は4強に進出。夏の初陣では、序盤から攻めた。5回までに11安打9得点を挙げ、試合を決定づけた。長年の取り組みが夏1勝に結実した。阪神近本光司や楽天辰己涼介らを輩出した同校は県内で唯一、体育科を持つ県立校だ。体育教員や指導者の育成、部活動に力を入れている。山田真利体育科長(43)は「部活動でやるレベルくらいのことを授業でもやっている。授業が練習になるくらいです」と話す。陸上の授業で股関節を使う練習として行った「メディシンボール」を用いたトレーニングは、選手が自主的に取り入れるほどだ。

目的意識を持った練習で技術、体力を磨いた。激戦区の兵庫を勝ち抜いた実力校が、18年ぶりの聖地で躍動した。【波部俊之介】

▽社・後藤(夏初勝利の瞬間も派手なガッツポーズは自粛し)「相手側の立場なら苦しい状況。相手への敬意を忘れずに、対戦できる喜びを感じてプレーしていた。その辺(自粛)は試合前にチームで話し合っていた」

▽楽天辰己(母校・社の勝利に)「(ナイターの)試合前に大差で勝っているのを聞いていたので、力をもらいました。この勢いでこの後もどんどん勝ち上がっていってほしいですね」

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