史上7校目の夏連覇を目指した智弁和歌山が、初戦で敗れた。

2点を追った9回。攻撃開始時からアルプスの応援団が、魔曲「ジョック ロック」を演奏。迫力の応援が響く中、先頭の山口滉起外野手(3年)が左翼への二塁打で出塁した。大反撃を予感させる王者の粘りだった。だが続く3人がフライを打ち上げ、二塁走者の山口は次の塁に進めず。最後は主将の岡西佑弥内野手(3年)の打球を相手遊撃手がつかみ取り、智弁和歌山の夏は終わった。18年夏以来の初戦敗退で、中谷仁監督(43)の就任後は初めてだった。

中谷監督は「本当にぼくの未熟さです。(エースの)塩路の状態を今日に向けて上げることができなかった。武元が先発でいって、後半が塩路が締めてくれたらと思っていた。打ち合いになることも想定して、武元が先に行った方がいいというぼくの判断。6回での継投も考えたが、後手を踏んでしまった」と悔しさをあらわに。最後の打者になった岡西は「終わったなというか、まだまだ足りないところだらけだなと思いました」と天を仰いだ。

出場49校の最後の登場。対戦相手が決まらない中、新型コロナウイルスの脅威とも戦いながらの調製は、21年夏王者にとっても難しいものだった。その中で黙々と準備し、ナインは王者のプライドを持って戦い抜いた。6日の開会式で返還した深紅の大優勝旗を持ち帰る夢は消えたが、中谷監督は「彼らと戦うことができて幸せでした」とねぎらった。