仙台育英(宮城)が明秀学園日立(茨城)に5-4と逆転勝ち。

東北勢一番乗りで、3年ぶりの8強を決めた。4-4と同点に追いついた7回、岩崎生弥内野手(3年)が勝ち越しの中犠飛。投げては7回から救援登板した高橋煌稀投手(2年)が3回無失点でチームを勝利に導いた。同校のスローガン“逆転の仙台育英”のように、一丸で粘り強く戦い、接戦を制した。東北勢は今日16日、聖光学院(福島)が8強をかけ、敦賀気比(福井)と激突する。

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午前8時から始まった熱戦は、その約2時間45分後に仙台育英が1点をリードし、9回2死を迎えた。カウント2-2。4番手で救援登板した高橋がサインにうなずき、右腕を振った。相手4番に143キロの内角直球。打球は右翼へ高々と舞い上がり、斎藤陽(ひなた)外野手(2年)のグラブに吸い込まれた。勝利の瞬間、小学校時代からバッテリーを組む尾形樹人捕手(2年)とグラブタッチをかわした。

鳥取商との2回戦は5回1安打無失点。この日は2-4の7回から登板した。「競っている場面で緊張したが、今までやってきたことを信じてマウンドに上がった」。1死から右中間に二塁打を浴びたが、迷いはない。後続を三邪飛に抑え、暴投で走者を三塁に進めたが一飛でピンチをしのいだ。その裏1死満塁から連続押し出し四球で同点とし、4回に代打で中前適時打を放った岩崎が勝ち越しの中犠飛。ベンチに戻り、須江航監督(39)とグータッチした。

勝負強さを誇る不屈の男だ。岩崎は宮城大会はベンチ外。だが、紅白戦などで結果を残し、18人で臨む甲子園で背番号「14」を託された。秋元響内野手(3年)は「全体練習後の居残り練習に参加したり、寮での素振りとか、人一倍頑張っていた」と証言する。初戦は代打で遊撃強襲の2点適時打。2戦連続で結果を残した「切り札」の活躍に指揮官は「今までずっと日陰にいた子たちが努力を重ねて最後にベンチに入り、こうやって活躍してくれることに指導者として本当に感謝しています」とたたえた。

18日の準々決勝は抽選の結果、第1試合で愛工大名電(愛知)との対戦が決まった。須江監督は「ずっと第1試合の流れの中でいいサイクルができていますから。いいイメージを持って、どこが相手になっても今日のような丁寧な戦いができれば」と意気込んだ。宮城大会は、決勝と不戦勝の準決勝を除く4試合が午前9時開始。甲子園での2試合は午前8時開始の第1試合で勝利を積み上げてきた。仙台育英が早朝の聖地に鳴り響くサイレンを合図に4強に向け、戦闘を開始する。【相沢孔志】

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