愛工大名電(愛知)のエース有馬伽久(がく、3年)が、今大会最短の2回で降板した。目標の全国制覇には届かなかった。

初回先頭に四球。ヒットエンドランと犠飛であっさりと先制を許した。2回も安打、犠打、バント安打、盗塁とかき回され、2失点した。投打の柱で、主将でもある有馬は「バントもできて、すきを見て次の塁を狙う積極的な走塁もしてきた。打者に集中できなかった。攻め方がとてもうまかったです」と完敗を認めるしかなかった。

それまでの3試合で342球を投げ、快進撃を支えてきた大黒柱。中2日での先発で「疲労はなく、甲子園にも慣れてきていた。いつも通りの自分のプレーができる調子だった」と言うが、力を出せないまま38球で降板した。

劣勢のまま迎えた9回の攻撃。2死走者なしからチャンスを作り、山田空暉内野手(3年)の二塁打で1点を返した。有馬に打順が回った。二ゴロに倒れ、飛び込んだ一塁ベースに突っ伏して、有馬の甲子園は幕を閉じた。

「最初に自分が点を取られ、打席でも貢献することができず、最後もみんながつないで回してくれたのに結果を出せなかった」。笑顔を見せたナインもいる中で、有馬は自力で立てないほど泣いていた。

プロも注目する左腕は大学に進む。「甲子園で試合をした経験と、この悔しい思いを生かして頑張りたい」と力強く宣言した。

▽愛工大名電・岩瀬(中日OB岩瀬仁紀氏の長男。2番手で登板し2失点)「最後の試合で結果を出せなかったことは悔しいが、あの場面で投げさせてもらえたことに感謝している。大学で活躍して社会人に行ってから、出来ればプロに行きたい」

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