深紅の大優勝旗をかけて仙台育英(宮城)と下関国際(山口)が午後2時から甲子園で戦う。好投手5人を擁する仙台育英と大阪桐蔭、近江(滋賀)を撃破した下関国際の一戦は、勝てばともに初優勝。仙台育英は東北勢初Vをかけ、下関国際は1958年(昭33)の柳井以来、64年ぶりの山口県勢の戴冠がかかる。

SNSでは、154年前に起こった「戊辰戦争」になぞらえる声が巻き起こっている。1868年、薩摩・長州軍と旧幕府軍による内戦だ。仙台育英を創立した加藤利吉は1882年、福島・会津若松市に生まれ、白虎隊で有名な飯盛山には、顕彰碑がある。一方の下関国際は山口・下関市の私立校。白地に青と赤を基調としたユニホームは、坂原秀尚監督(45)のこだわりだという。関門海峡を意識した青、長州藩の情熱の赤が勝負服の由来だ。

日本史上、類を見ない政治システムの大転換期だった戊辰戦争、明治維新をへて、いまの日本がある。刀をバットに持ち替え、平和をかみしめながら、高校球児が全力を尽くす。

◆戊辰戦争 1868年から1869年にかけて起こった日本史上最大の内戦。徳川慶喜を擁する旧幕府軍と薩摩(鹿児島)・長州(山口)を中心とした新政府軍が激突した。鳥羽・伏見の戦いに端を発し、戦火は東日本に拡大。旧幕府軍の勝海舟と新政府軍の西郷隆盛による江戸城無血開城後も、旧幕府軍の抗戦派が抵抗。戦線は東北へ。旧幕府側の会津藩は16、17歳の少年たちで白虎隊を編成したが、炎上する鶴ケ城を見て飯盛山で自刃した。北海道・函館の五稜郭の戦いで旧幕府軍が降伏し、終結した。

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