今夏の県準優勝校が、秋の公式戦初戦で逆転勝ちした。

2点を追った7回に能聡志外野手(2年)の適時二塁打で追いつき、8回に岩岡康介捕手(1年)が決勝のスクイズを決めた。エース内海大和(2年)が145球2失点(自責1)完投。1点を争った試合中、声を張り続けた北野定雄監督(63)は「後半の粘りは間違いなく、3年生が残してくれた財産です」と、チームに受け継がれた強さをかみしめた。

今夏は初めて県決勝に進むも、新型コロナウイルス感染による体調不良者が続出。準決勝で全国区の強豪・智弁学園を破ったベンチメンバー20人中12人を入れ替えて決勝に臨んだが、天理に0-21で完敗した。

ただ、天理ナインはベストメンバーで臨めなかった生駒を思い、試合後は静かに整列するなど配慮を見せた。両校に交流が生まれ、病魔に苦しんだ生駒の夏に区切りをつける3年生同士の“引退試合”を、11日に決勝の舞台・佐藤薬品スタジアム(橿原市)で開催。それから1週間後、センバツを目指す生駒の秋の戦いが始まった。

8月初旬から新チームは練習を始めたが、例年よりスタートは大幅に遅れた。8月後半にスケジュールを詰めて練習試合を組み、秋への臨戦態勢を整えた。初戦の緊張もあり、この日は4失策。奈良に2点を先行された場面も失策が絡んだが、北野監督は「1発、2発エラーが出ても、2発目のタイムリーエラーが出なかった。そのへんは踏ん張ってるかなというところ。内海も(失策で)足を引っ張られても、ぶれることなく投げてくれました」とエースをねぎらった。

新主将の谷口寛文内野手(2年)は「もっと点を取って内海を楽にしたかったんですが、知らないうちに体に力が入ってしまって」と反省。ただ3年生が残してくれた粘りという名の財産については「間違いないです。昨年の3年生は常に後半(状態を)上げていけるような、そんな先輩たちでした。気持ちの部分で一番、見習らわないといけない」。試合中の粘り強さとともに、先輩たちは「どんなときでも笑顔で」という前向きな気持ちも後輩に伝えた。それも、自分たちの力に変える。

ともに勝ち進めば、準々決勝で智弁学園と再戦。谷口は「まずは次の大和広陵戦。そこ一本に絞って」と、秋も今夏の快進撃を再現する。【堀まどか】