東京学館新潟は北越との接戦を2-0で制した。先発のエース涌井陽斗投手(2年)が9安打を浴びながら6回無失点と粘投。2番手・朝妻渚斗投手(1年)との左腕の完封リレーで、秋の北信越大会7年ぶり出場を決めた。準決勝は24日にハードオフ新潟で行われる。

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粘った。東京学館新潟のエース涌井はピンチを迎えるたびに、心にこう言い聞かせ、投げた。「ここで抑えなければ学館のエースと名乗れない」。試練を何度も切り抜けた。6回まで被安打は9。2回には内野安打と失策で無死一、二塁、6回は1死満塁と走者を背負った。「エースナンバーの重みを感じる」という重責に見合う粘りの投球で6回を無失点だ。2番手の朝妻と左腕の完封リレーで北信越出場権を得る4強入りを決めた。

登板予定は5回までだった。しかし、旅川佑介監督(40)もエースに試練を課した。5回終了時を涌井が振り返る。「監督に『まだ合格点をやれない。次の回を全部任せるから、見せろ』と言われた」。まだ指揮官から直接の合否判定はもらっていないが、エースは「(合格点は)やれない」と自己判定だった。

もっとも、この秋の公式戦から披露しているチェンジアップが効果的だった。背番号11でベンチ入りした夏(8強)には使う機会がなかった決め球。カーブしか変化球を持っていなかった涌井に「フィニッシュの決め球があった方がいい」と旅川監督に指摘され、磨いてきた武器だ。「チェンジアップは信用して投げた。決め球は、ほぼチェンジアップだった」と粘投の裏には自信に裏打ちされた決め球があった。旅川監督は「何度もピンチはあったが、きちっと抑えたのはいい経験」と左腕エースに及第点を与えていた。【涌井幹雄】

▼敗れはしたが北越先発の1年生、松尾海璃投手が好投した。

3回戦の新潟第一戦に続く2試合目の先発で4回を4安打2失点。初回以外は失点を防いだ。先発は4回戦後にチームメートとの話し合いで決まった。エースの山田直輝(2年)が負傷で登板できない中、「やるしかないと思った」と覚悟を決め、登板。「緊張しなかった」と振り返りながら「変化球の精度とコースの投げ分けの力をつけたい」と課題も見つけた。

◆北信越大会 新潟県で16校が参加し開催。10月14日に開会式が行われる。開催地の新潟は1増で4校が出場。15日1回戦、16日2回戦、22日準決勝、23日決勝。決勝はハードオフ新潟で午前9時開始。組み合わせ抽選は10月7日に行われる。来春センバツ選考に参考資料となる大会で北信越のセンバツ出場枠は2。