クラークが北北海道勢で初となる2連覇で明治神宮大会(11月18日開幕、神宮)出場を決め、全国一番乗りで来春センバツ(23年3月18日、甲子園)最有力校となった。主将の右横手投げエース新岡歩輝(2年)が先発し10回6安打7三振1失点と好投。同点の延長10回に、中村光琉(ひかる)外野手(2年)の右越え適時二塁打などで2点を勝ち越し、競り合いを制した。佐々木啓司監督(66)にとっては駒大岩見沢を指揮した91、92年以来30年ぶりの秋連覇となった。

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目いっぱい跳びはねて喜んだ。クラークのエース新岡は、最後の打者を三振に切って取ると、背後を振り向いた。「うれしさとほっとした気持ち。みんなが守ってくれたおかげ。まずは感謝の気持ちを示したかった」。猛ダッシュで集まる仲間を迎えると、マウンド上で高々とジャンプし、感情を爆発させた。

スタンドには今春センバツに導いた、山中麟翔、辻田旭輝(ともに3年)のダブルエースがいた。新岡、麻原のバッテリーは、三塁側スタンドを向き右手を突き上げ、歓声にこたえた。大会中、打撃投手を手伝ってくれた“アニキ”たちに新岡は「先輩から『連覇しろ』と言われていたので、果たせて良かった。先輩たちのおかげで、勝つことができた」と感謝した。

新たなステップだ。佐々木監督は駒大岩見沢時代に92、93年と連続でセンバツ出場も、クラークでは16年の初出場後5年、聖地に届かなかった。創部わずか9年。今春センバツ前、練習前の準備なども含め「うちには先輩から後輩に受け継がれる覚悟というのが足りない。そういうのは続けて出ないと芽生えないもの。だから連続で勝たないと」と話していた。春から説いていた連覇の意義。日本屈指の伝統を誇る北海を倒しての連続切符に「この世代は神宮や甲子園といろんなものを見てきた。だからこそ、勝ちが近づいたと思える」と勝因に挙げた。

選手にも常連校になるための「覚悟」が浸透しつつある。野球部員は全員、寮で共同生活を行う。24時間直接、先輩から伝えられる勝者の心がけや仲間への思いやり。聖地に立ったからこそ説得力は増し、麻原は「3年生の言葉には重みがあった。信じてついていけば必ず甲子園にいけると思った」と効果を口にした。

連覇の勢いを今度は初の聖地1勝につなげる。新岡は「去年の全国舞台は緊張して思うようなプレーができなかった。今度は落ち着いて。監督に3元号勝利を届けたい」。聖地での敗戦を知る新岡らを中心に、今春の忘れ物を取りに行く。【永野高輔】

◆クラーク 正式名称はクラーク記念国際高校。92年4月に設立された全国1万人以上の生徒が学ぶ広域通信制高校。深川本校にある野球部は14年4月創部。創部3年目の16年夏の甲子園に初出場し、今春はセンバツ初出場。部員は3年生13人、2年生15人、1年生14人の計42人。卒業生にソチ五輪スノーボード女子パラレル大回転銀メダリストの竹内智香。深川本校の所在地は深川市納内町3の2の40。吉田洋一校長。