高松商(香川)の浅野翔吾外野手(3年)は巨人が1位で指名し、交渉権を獲得した。

9月28日に12球団一番乗りで1位指名を公表した巨人は、阪神との競合の末、巨人原辰徳が引き当てた。阪神と巨人の一騎打ちでの競合は史上初。「伝統の一戦」は巨人に軍配が上がった。浅野は同校で会見に応じた。

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原監督から、「堂々とジャイアンツのユニホームを着てもらって」とテレビ画面越しに伝えられた浅野は、着席しながら深く頭を下げた。目元は緩んでいた。野球部の長尾監督、三好部長の間で、安堵の表情を見せた。第一声で「昔から伝統のある読売ジャイアンツさん。まさか競合するとは、うれしかったです。身長が小さいけど、言い訳せずに小さい選手に夢を与えたい」と言い切った。

“運命の赤い糸”は、確かにつながっていた。父幹司さんに教えられた打撃フォームが原点。「今とは全然違う」とは言うが、巨人の4番を張った原辰徳監督のフォームを参考にした。トップからミートまで距離をとることを意識し、「飛ばす力」を養ってきた。

高松商・長尾健司監督は熱烈な巨人ファン。昨年3月の香川県大会、浅野は四球で打つ気をそらされ不満顔になると、よく叱られた。「お前が顔に出してチームの雰囲気が下がる」。92年、星稜・松井秀喜は5連続敬遠されても静かにバットを置いて一塁に走っていた-。一流のエピソードを伝えられ、不動心を身につけた。

最注目選手として迎えた最後の夏は衝撃的な活躍だった。香川大会では2本の先頭打者弾に、決勝で3ラン。甲子園では初戦の佐久長聖(長野)戦で逆風を突く右中間最深部への1発を含む2本塁打。準々決勝の近江(滋賀)戦では、大会屈指の好投手、山田陽翔(3年)からバックスクリーンに放り込んだ。

2年夏と合わせて甲子園5試合で17打数11安打、打率6割4分7厘、4本塁打、8打点。7四球は3年間の成長のたまものだ。先日のU18W杯でも主軸を務めた。

同校からは初となる高卒ドラフト1位。香川から新たなスターが誕生した。