斉藤よ、黒田さんを目指せ-。広島新井貴浩新監督(45)が21日、指名あいさつのため北海道・苫小牧市の苫小牧中央高を訪れた。ドラフト1位の斉藤優汰投手(18)に「最終的には黒田さんのようにチームのために腕を振れるエースになってほしい」と要望。力強い投球画像を見た指揮官は、現役時代ともに戦ってきた球団のレジェンドを重ね合わせ、成長を期待した。

   ◇   ◇   ◇

新井監督が就任後初めて1位指名した斉藤と対面した。「すごくいい体をしているし、しっかりしている。自分の高校3年生のときと比べ、はるかにしっかりしているなと思いました」。伸びしろたっぷりの18歳を見て、ある存在が思い浮かんだ。「何年後かにはカープのエースに。日の丸を背負って世界の舞台で投げられるだけの素質を持っている。最終的には黒田さんのような、チームのために腕を振れる、そんなエースになってほしい」と期待した。

偉大な名前を出したのは、決してリップサービスではない。「今もいい体をしてますけど、絶対にもっと大きくなる。映像を見ていて、まだ成長段階なのに、地の強さとか馬力があって、黒田さんにかぶります」。長年、ともに戦ってきた盟友同士。近くで見てきたからこそ、すぐにイメージがわいた。斉藤も「投手としてもすごいし、人情味の人という印象。光栄です」と気持ちを高ぶらせた。

新井監督は明確な将来像を描かせると同時に、手本にすべき人材や、描く育成プランについても言及した。「現役でも同じ右の大瀬良、森下と素晴らしい投手がいる。たくさんのことを学んでもらいたい。あとは焦らせたくない。注目された中で1軍キャンプに入るとオーバーペースになる。落ち着いたところでじっくりやってもらいたい」。段階を踏み、まずは2軍でしっかり土台をつくる意向を示した。

日帰りでの北海道訪問。多忙なスケジュールにもかかわらず、到着後、校舎前で出迎えた斉藤に「待たせてごめんね。よろしくね」とフランクに語りかけ、会見後は緊張する斉藤の肩をもむなど気遣いの「新井さん」らしさ全開。監督1年目。北海道からやってくるダイヤの原石を、時に優しく、時に厳しく、磨き上げていく。【永野高輔】