大阪桐蔭(近畿)のエース前田悠伍投手(2年)が161球完投で仙台育英(東北)との注目対決を制した。大会2連覇への大きな山を乗り越えた。

立ち上がりから制球に苦しんだ。初回は2つの死球がからんで1失点。2回も四死球から1失点。「調子が上がってこない中で、勝つ時の感覚がうまくつかめず、毎イニングどうやったら調子が上がるか考えながらやっていました」と苦心のマウンドを振り返った。

3回以降は走者を背負いながらも粘り抜いた。6回に打線が4-2と逆転。前田はその後の7回と8回を3人ずつで抑え、勝ちへの流れを作った。「7回からしっくり来て『これだ』と。自信になりました」

9回に反撃にあったが1点差で逃げ切った。最後2死一、二塁は141キロを外角に突き刺して、見逃し三振を奪った。

被安打は6、奪三振6。6四球、4死球の計10四死球は記憶にないという。同じく自己最多の161球で9回を投げ抜き、エースの底力を示した。「疲れはなかったです。最後にいいイメージがついた。いつもと同じ感覚で投げられた」と満足そうに話した。

西谷浩一監督(53)は「途中で代えようとも思ったけど、修正しながら粘り強く投げていた。最後まで行く方がいいかなと思いました。バランスよく最後まで投げていた」と、仙台育英相手の4失点完投勝利を評価した。

今大会は東邦(東海・愛知)に9-1、クラーク(北海道)に12-2、そして仙台育英に勝って3勝目。「何とか4試合やろうと選手にも言ってきた。決勝の独特の雰囲気の中で、どれだけ自分たちの野球ができるか試したい」と西谷監督。中1日で臨む23日の決勝でV2を目指す。