第95回記念選抜高校野球大会(3月18日開幕、甲子園)に、常葉大菊川(静岡)が出場します。2013年以来10年ぶり5度目となる春の大舞台に挑むチームを紹介する連載「いざ10年ぶり春の陣へ」をお届けします。

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石岡諒哉監督(33)が、自然体で甲子園に戻る。常葉大菊川の捕手として優勝を飾った07年センバツから16年。母校を率いて初めて聖地の土を踏む。それでも「個人的な特別な感情はない。自分が良い思いをさせてもらった甲子園を選手たちに経験させてあげたいし、そこで勝たせてあげたいと思って常に指導している」。いつも通り、選手のために全力で采配を振る。

就任3年目で大舞台へと導いた若き指揮官。社会人のENEOS時代に師事した名将・大久保秀昭監督(53)を理想とし、指導では「監督になり過ぎないこと」を心がける。「偉そうなそぶりを一切見せない方で、私生活の話も普通にする。一方で大会前は一線を引いて引き締めたり。すごく影響を受けている」。ナインからは「石岡さん」と呼ばれ、時に厳しく、時には冗談も言い合いながら教え子と向き合っている。

趣味は海外サッカー観戦。特に解説には聞き耳を立てるという。「戦術や対策で試合展開が変わる。そういう部分を聞きながら見るのが好きで勉強になる」。自身も、昨秋の東海大会は対戦相手ごとに7~8試合分の映像をチェック。特徴などをメモに取り、先発オーダーに反映させた。「好きでやっているだけ。はまっているかはわからない」と笑うが、戦術家の一面も進撃を支えた。

20年春の就任から選手と一緒に成長しながらたどり着いた大舞台が、いよいよ18日に開幕する。石岡監督は「1つのアウト、1点を必死に取りにいくと選手にずっと言ってきた。その姿勢を見せたい」。変わらず、ひたむきに勝利を目指す。【前田和哉】(おわり)

◆石岡諒哉(いしおか・りょうや)1989年(平元)5月3日、浜松市生まれ。小1から浜松ジャガーズで野球を始め、積志中から常葉大菊川。高校では3年時のセンバツで優勝、夏は4強。卒業後はENEOSや東海REXでプレー。引退後、浜松開誠館の副部長を経て17年から母校の副部長に就任。20年4月から監督を務める。右投げ右打ち。家族は夫人と1男。175センチ、84キロ。血液型O。