1997年夏の甲子園準優勝投手の龍谷大平安・川口知哉さん(43)が、母校のコーチとして甲子園に戻ってきた。

一塁側アルプス席から勝利を見届け「とりあえず勝てたことがうれしい。安心しました」と胸をなで下ろした。

試合前にはグラウンドへ踏み入り、外野手へのノックも行った。「感慨深くなるかな」と想像していたが、いざ立ってみると別の感情がわいてきた。「懐かしさというか、ピリつく感じがまだあって。戦闘態勢に入ってる自分がいた」。聖地はいつまでも勝負の場所だった。

後輩には「甲子園はいいことしか起こらない所」と言い続けていた。「高校生にとってプラスでしかない、行くべき場所。勝利して彼らの財産になっていくと思うので、そういう意味ではひとつ貢献できたと思う」。川口さんは、白球を懸命に追うナインとともに聖地で戦い続ける。