初出場の能代松陽(秋田)が、史上初の2度目のセンバツ連覇を狙う大阪桐蔭に0-1と惜敗。エース右腕・森岡大智(3年)が、大阪桐蔭打線を2安打に抑えて1失点完投。だが、打線が6回以降、得点圏に3度走者を置くも1本が出ず。17年ぶりの県勢8強を逃した。

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大会連覇を目指す名門を苦しめたが、金星まであと1歩及ばなかった。5回まで両校無安打無得点の投手戦で迎えた7回。能代松陽は1死二、三塁と、この試合最大のチャンスを迎えたが、柴田大翔捕手(3年)がフルカウントからきわどいボールを見逃し三振。続く森岡は右飛に倒れ、絶好の先制のチャンスを生かすことができず。すると同裏、1死三塁のピンチでスクイズを決められ、値千金の1点を献上した。1点を追う8回1死二塁では救援登板した前田悠伍投手(3年)の前に1、2番が凡退に終わった。

優勝候補に善戦したものの笑顔はない。工藤明監督(47)は「チャンスもあったので非常に悔しい」と言葉を絞り出した。だが、森岡を中心とした堅守を軸に粘り強く戦えたことは、大きな収穫。「相手よりも先に崩れないことはできたので及第点。勝負どころでバットを振っていけない消極性が改善できれば」と前を向いた。

県勢としては18年夏決勝で金足農が対戦して以来の大阪桐蔭戦。2安打を放った虻川颯汰外野手(3年)は「チームの課題はチャンスで1本が出ないこと。その課題をつぶして夏の甲子園で借りを返したい」と意気込んだ。大高有生主将(3年)は「金足農も公立校で準優勝できたので、自分たちが日本一になれるように頑張りたい」。スローガンに掲げる“全員野球”をさらに強化し、夏の秋田大会を制して必ずこの場所に戻ってくる。【相沢孔志】