「ポスト・コロナ」を実感させる甲子園だった。1日に山梨学院の初優勝で終幕したセンバツ。

19年夏以来の「声出し」応援が全面解禁になり、マスク着用も個人判断に。球場には各校の名物応援が本来の形で響き、グラウンドの選手を鼓舞した。また、タイブレーク制度が従来の延長13回スタートから延長10回に早まった。現場の反応を踏まえて、振り返った。

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増えると思われたタイブレーク(TB)は3試合あった。TB導入後の甲子園9大会目で昨春と並んで最多。3試合とも最初の10回でサヨナラ決着した。

延長10回に早まった影響を現場は感じていたのか。準決勝の山梨学院-広陵は8回まで1-1。広陵・中井哲之監督(60)は「TBも覚悟した」。125球投げていたエース高尾響(2年)を続投させ、結果的に勝ち越された。TBの守りはバント処理が重要。守備がうまい高尾を代えるリスクもあった。延長13回ならまた別の展開になったはずだ。

能代松陽に1-0で逃げ切った大阪桐蔭・西谷浩一監督(53)は「TBはあまりよぎらなかった」。後攻のため、選手には「最悪、9回裏まで考えていい」と同点を怖がらないよう伝えた。選手にTBを意識させることはなかった。裏を返せば、9回で必ず決着させるという決意だろう。

試合の流れがリセットされ、互いに好機が用意されるTB。「延長10回」を見据えた心理的、戦略的な影響は興味深い。