春季高校野球新潟県大会が26日に開幕する。

昨秋の県大会2位で、北信越大会では県勢で1校だけ準々決勝に進出した中越は、エースで4番の野本壮大投手(3年)がチームを支える。打撃は昨秋県大会で6試合19打数11安打の打率5割7分9厘をマーク。冬場は投手としての練習をメインに体重も、球種も増やした。優勝を狙う今大会だが、甲子園出場へ夏を勝ち抜くためのテーマを見つける場ともする。

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野本の全身にはプライドが詰まっていた。新春の練習開始時に恒例にしている書き初めは「大黒柱」。投打の柱になる気概を漢字3文字に込めた。「投手としても、打者としても『自分がチームを支えて引っ張っていく』という思いで書いた」。

冬場は、その心意気を示しながら投手の練習を中心に繰り返した。校舎の廊下ダッシュ、1階から4階までの階段ダッシュで下半身強化。「納得いくまで」投げ込みもした。チェンジアップ、カットボール、スプリット、横に曲がるスライダーと4種の変化球を冬に会得した。直球の最速は140キロ。「どんな相手にも引かない。押す。闘志あふれる投球を目指している」。体重も秋より5キロ増えて83キロになった。

「終盤の集中力とスタミナが課題」と野本は言う。新潟明訓に6-7で敗れた昨秋の決勝だ。3-1のリードから7回1死に3連続長短打を打たれ、3-3となり降板した。北信越大会も終盤に減速。1回戦の星稜(石川)戦は8回まで無失点に抑えながら、最終スコアは3-2だった。準々決勝の敦賀気比(福井、8-11)戦も終盤に降板し、2投手を挟んで再度登板したが相手の勢いを止められなかった。2日間の連投で337球。「無駄球が多かった。審判のクセも早く読まなければいけない」と課題を持ち帰っていた。

打撃を買われて1年秋に背番号5をつけた野本が、甲子園を狙う機会は今夏だけになった。「夏への課題を明確にしたい」とこの大会を夏を勝ち抜くためのテーマ抽出の場にする。初戦は28日の2回戦。「冬はみんなが木製バットで打った」と言うミート力と、冬に覚えた変化球を試しながら野本は春に挑む。【涌井幹雄】

◆野本壮大(のもと・そうた)2005年(平17)7月2日生まれ、長岡市出身。野球は上組小1年に「上組こだま」で始め、宮内中時代は長岡シニアに所属。高校へは野手として入り、1年秋に背番号5。2年夏に投手の10番を背負い、2年秋から1番。175センチ、83キロ。右投げ右打ち。血液型A。