瀬田工のプロ注目スラッガー、平田大樹(だいじゅ)外野手(3年)が夏初戦でアーチをかけた。

0-0の4回。4番に座る左打者は甘い直球をフルスイング。低い弾道の打球は、両翼99メートルある外野フェンスをあっと言う間に越えていった。

「感触がまったくなかったです。打った瞬間に本塁打と確信しました。直球に絞って、しっかりとらえられました。流れを変えたかったのでよかったです」。会心の高校通算21号に胸を張った。

火が付いた打線はそこから得点を重ね、7回コールド勝ち。主砲の先制弾が決勝点になった。平田は5回の第3打席でも右翼線に二塁打を放ち、3打数2安打1四球だった。

スタンドには複数の幹部クラスを含む9球団16人のNPB関係者が詰めかけ、注目度の高さをうかがわせた。この1~2カ月で急激に成長し、スカウトも本格マークを始めた。

昨秋、新型コロナの影響が長引き、体調を大きく崩した。入院生活も2度経験し、今年初めには2カ月近く、グラウンドを離れた。今春も体調が戻らず、ベンチを外れた。だがチームは「平田が戻ってくるまで」と結束。野球を離れることも考えたという背番号8は温かい仲間のもとに戻り、輝きを取り戻した。「みんなに支えられて、勇気づけられた。夏の大会でこうやって1本打てて、歓声をもらって。野球をやってきてよかったです」と晴れやかに笑った。

昨夏、圧倒的強さを誇った近江と延長10回を戦った際のメンバーが数多く残り、80年以来の甲子園を狙える戦力を備えている。次戦は彦根総合-東大津の勝者と激突する。

◆平田大樹(ひらた・だいじゅ)2005年(平17)8月25日生まれ、大津市出身。瀬田小3年から瀬田スポーツ少年団で野球を始め、高穂中では湖南ボーイズに所属。瀬田工1年秋から背番号8で主力。目標の選手は巨人坂本。181センチ、70キロ。右投げ左打ち。

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