<高校野球茨城大会:水戸桜ノ牧9-5茨城キリスト>◇15日◇2回戦◇日立市民球場

高校野球のドラマは、勝った者にだけ生まれているわけではない。日刊スポーツでは今夏、随時連載「君がらんまん」で、勝者だけでなく敗者にもスポットを当てた物語をお届けする。

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茨城キリスト教学園は初戦で姿を消した。主将の武藤快成内野手(3年)は、4点を追う9回、2死満塁で打席が巡ってきた。「昨年の満塁の場面は頭によぎらなかった。あの1打席にすべてをかける思いだった」。3球を見逃し、1ボール2ストライクから中堅に大飛球を放ったが水戸桜ノ牧の好守備に阻まれ、最後の打者となった。

1年前の夏も、9回、満塁で打順が回ってきた。中央との3回戦、1点を追う9回1死満塁。「自分が活躍したい思いが強すぎた」と、2ボールからのストライクギリギリの球を打ちに行った。結果は平凡な飛球。後続も倒れ、チームは敗れた。「見逃せばボールだったかもしれない。チームプレーができなかった」と悔やんだ。「あの1打席のミスを忘れることはなかった。1球1球、大切に練習してきた」。1年後にはチームのためにという思いで最後の打席に立てていた。

中田裕二監督(57)は「今日の満塁の打席は神様からのプレゼントになるのか、試練になるのか」と神様のいたずらに驚きつつ、感慨深そうに言葉を紡いだ。「2ストライクありきのバッティングをしてくれた。あの打球を捕られたら仕方ない。武藤の大きな成長です」。敗れはしたが、武藤の1年間は間違っていなかった。【村山玄】

 

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