仙台育英が慶応に敗れ、04、05年の駒大苫小牧(南北海道)以来18年ぶりとなる夏連覇を逃した。初回、先頭打者の丸田湊斗外野手(3年)に先制ソロ本塁打を許すと、その回にもう1失点。球場の空気は一気に慶応一色となった。

0-3で迎えた2回裏、4番・斎藤陽外野手(3年)の中前安打、5番・尾形樹人捕手(3年)の右二塁打で無死二、三塁のチャンスをつくり、後続が1点を返した。3回裏にも相手投手の暴投で1点を返し、2-3としたが反撃はそこまで。先発の湯田統真投手(3年)に代わり、5回から継投したエース右腕・高橋煌稀投手(3年)も5回に5失点とビッグイニングを作られるなど立て直し切れず。慶応の勝負強さと球場を大応援団の圧力に屈した。

“負ける覚悟”があった。夏の宮城県大会初戦の前日、チームミーティングで須江航監督(40)は「負ける覚悟をちゃんとしていこう」と選手らに話した。「始まるというのは終わる。いつ終わっても、残念な行いや振る舞いはしたくないから、1発で負けたときに泣いて、悲しくなるのはやめて、相手をちゃんとたたえて、相手をたたえられて自分たちも終わるような準備をしようと」。2-8で試合終了。仙台育英ナインは背筋を伸ばし、慶応の校歌を聴いた。万雷の拍手を浴びて甲子園を後にした昨夏の王者。「グッドルーザーであれ」。連覇こそ逃したが、ナインの目は真っすぐ前を向いていた。

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