慶応(神奈川)が107年ぶり2度目の優勝を果たした。史上7校目の連覇を狙った仙台育英(宮城)と対戦。1回表、1番丸田の先頭打者本塁打などで2点を先制。2回にも丸田の適時打で1点を追加。仙台育英に2、3回に1点ずつを返され1点差に迫られた5回、打者一巡の猛攻で5点を奪い突き放した。

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慶応は偏差値70をゆうに超える有数の難関校。それでも、日本一になれるほどの有力選手が集まった。理由はどこにあるのか。

まず何より「慶応」のブランド力だ。前監督の上田誠氏(66)は「慶大野球部の魅力」を挙げる。「高校で終わらず神宮でも活躍の場を持ちたいという子が高校に入ってくるんです。大学のチームを見ている中学生や保護者さんが多い。(成績が)あんまりだった子でも、それが意外とモチベーションになって猛勉強してくれる。神宮で早慶戦を戦いたい、慶大でやりたいというのが勉強のきっかけになる」と解説した。

慶大の堀井哲也監督(61)は「森林監督とは高校、大学と7年間、互いに連携してチームを作っていきましょうと常に話しています」と明かす。大学を出てからも野球部卒業生は多方面で活躍。OBのつながりも強固だ。「出口」の強さは魅力に違いない。

一方で02年からは推薦制度も導入。スポーツ、文化活動に秀でた人材を受け入れ始め、野球部の強化も大きく進んだ。だが推薦とはいえ野球の実績、能力に加え9教科の内申点38以上、作文、面接とハードルは高い。野球部は毎年、10人前後。入学後の区別はなく、進級・進学には厳しいハードルが設定される。「潜り込めればOK」の世界では決してない。

推薦組のほか内部進学組、一般入試を経て入学した選手が志を同じくして野球に、勉学に打ち込む。甲子園優勝で、またブランド力は高まるはずだ。

◆慶応 1858年(安政5)に創設された蘭学塾が前身の私立の男子校。高等学校は新制高校として1948年(昭23)に開設された。生徒数は2180人、野球部は1888年(明21)に創部で部員数は107人。甲子園出場は春10度、夏は19度目。主な卒業生は楽天津留崎大成、ソフトバンク柳町達、ヤクルト木沢尚文。所在地は神奈川県横浜市港北区日吉4の1の2。阿久沢武史校長。