高校野球の対外試合が2日、全国で解禁され、各地で練習試合が実施された。18日に開幕する第96回選抜高校野球大会(甲子園)に出場する報徳学園(兵庫)は、兵庫・高砂市内で神戸弘陵と対戦し、5-1と快勝スタート。

先発したプロ注目の最速150キロ右腕、今朝丸裕喜投手(2年)は、NPB10球団のスカウト陣が見守る中で3回2安打無失点、5奪三振と好投した。

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気温1桁台の寒風が吹く環境下で、報徳学園・今朝丸の剛球がうなりを上げた。切れのある最速147キロの直球を軸に初回から2三振を奪取。2回も危なげなく切り抜け、3回はフォークとカーブなどを織り交ぜながら神戸弘陵打線を圧倒し、3回を投げ2安打無失点、無四球で5奪三振と圧巻の投球を披露した。昨秋から8キロ増の体重80キロとパワーアップを遂げた右腕は「ボールが強くなって、ストレートで空振りが取れるようになったことが一番変わった」と手応え十分だ。

高卒でのプロ入りを目指しており、巨人水野スカウト部長、オリックス牧田編成副部長らNPB10球団のスカウト陣総勢13人が視察に訪れた中でも動じなかった。試合前に大角健二監督(43)から大勢のスカウトが来ていることを告げられ、「今日の評価は大きいから、それであかんかったら(プロは)諦めろ」とハッパを掛けられたが、「意識したら悪いピッチングになるので」と意に介さず。平常心で好結果につなげた。

187センチの長身から投げ下ろす本格派に、巨人岸スカウトは「角度のある直球を軸に、フォークでも非常に空振りが取れる。この時期に147キロはすごい。本格派のピッチャー」と高く評価。オリックス谷口スカウトは「柔らかさもあって、球持ちもコントロールもよかった。高校生の中では十分注目されるピッチャーになると思う」と目を細めた。伸び盛りの剛腕が、センバツ本番へギアをさらに上げていく。【古財稜明】

◆今朝丸裕喜(けさまる・ゆうき)2006年6月2日生まれ、神戸市出身。神戸市立東灘小3年時に横屋川井少年野球部で野球を始め、本状中時代は関メディベースボール学院中等部に所属。報徳学園では1年秋からベンチ入りし、23年のセンバツでは山梨学院との決勝戦を含む4試合に登板した。187センチ、80キロ。右投げ右打ち。

○…報徳学園の大角監督は、今春のセンバツから完全移行となる新基準の「低反発バット」の現時点の印象について「やっぱりしんどくなってると実感した」と語った。普段の練習から木製バットを使用して練習を続けており、「正しく振ればしっかり打球も飛ぶ」と話す一方で、神戸弘陵戦では1発を含む7安打で5得点をたたき出したが、両軍通じてフェンス手前で捕球される外野フライが多かった傾向もみられた。「要所要所で(打球が)失速している」と振り返った。