21年センバツ準V超えを目指す明豊(大分)が敦賀気比(福井)に1-0でサヨナラ勝ちし、初戦を突破した。背番号3の4番石田智能(ともよし)捕手(3年)が、目標とする「打てる捕手」として大活躍した。

9回2死一、二塁で、持ち前の勝負強さを発揮して右前サヨナラ打。昨冬、外野手から捕手にコンバートされ、好リードで2投手による無失点リレーを完成させた。

明豊の頼れる4番が勝負を決めた。9回2死一、二塁の絶好機で「絶対決める強い気持ちだった」と、バットに念を込めた。相手2番手・米田攻略でツーシームを捨てて待った5球目。狙った低め直球を強振すると、速い打球が二塁手のグラブを弾いて右前へ。二塁走者の木村が相手外野手の好返球をかいくぐり、間一髪セーフ。劇的な幕切れに、打のヒーローは「木村は足が速いんで(野手の)間を抜ければ1点入ると思っていました」と声をはずませた。

石田は昨夏甲子園に出場も、初戦で北海(南北海道)に延長10回タイブレークでサヨナラ負け。「タイブレークで負け、その経験から勝負強さを発揮できて良かった」と苦い体験を生かした。冬場の筋トレなどでベンチプレスは20キロ増の約93キロとなり、インパクトの強さ、スイングスピードの速さにつながった。川崎絢平監督(42)の「甲子園、県大会も苦しい場面を経験している。本当は4番タイプではないが、勝負強さをかって4番においている」という期待に応えた。

リードでも貢献した。元々一塁や左翼を守っていたが、昨冬から「打てる捕手が減っているので目指そうと思った」と女房役に転向。「自分が打席に入ったら、どんな球が嫌か感じながらやっている」との「打者目線」も配球につなげている。

先発の寺本は「左打者のインコースを突いて抑えられた」、エース野田は「厳しいコースに強い球を投げられて良かった」と持ち味を引き出した。会心の無失点リレーを導いた。【菊川光一】

◆石田智能(いしだ・ともよし)2006年(平18)12月1日生まれ。福岡市出身。野球は四箇田小2から四箇田ボーイズで始め、小5から田村ホワイトイーグルス。金武中では西南ボーイズ。明豊では1年秋からベンチ入りし、2年夏は6番一塁で甲子園出場。昨秋は3番左翼。50メートル6秒9。好きな言葉は「努力の上に花が咲く」。174センチ、73キロ。右投げ左打ち。

○…2人の投手で無失点リレーを演じた。制球重視で先発に抜てきされた2年生左腕、寺本が6回2/3を3安打無失点。7回途中から救援のエース右腕、野田は速球で敦賀気比打線を圧倒した。寺本は「コントロールに自信がある。昨日、監督からも左のインコースは投げられるようにしておけって言われたので」と普段の練習の成果に胸を張った。

明豊・川崎監督(サヨナラ勝利も、相手先発の竹下に9回途中まで苦戦)「チェンジアップの見極めが一番。それが2打席目が回ってきても対応できていなかった。そこが反省点」

◆1-0サヨナラ 明豊がスコア1-0でサヨナラ勝ち。同校は19年準々決勝でも延長11回に後藤のサヨナラ打で龍谷大平安に1-0で勝っている。センバツで2度の1-0サヨナラ勝ちは報徳学園(64年東邦戦、75年札幌商戦)に次いで2校目。