センバツが100年を迎えた。敗れて甲子園を後にする敗者には、今夏の甲子園へとつながっていくドラマがある。「涙は夏のため~新しい夢のため~」と題し、さまざまな角度から敗れたチームの物語を紡ぐ。

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学法石川の佐々木順一朗監督(64)は、17年8月20日、夏の甲子園準々決勝の広陵(広島)戦以来、2403日ぶりの甲子園での試合になった。「ベンチから見た情景に、『こうしてたんだな』というのはありました」と感慨深げだった。

チームは苦しい中でも笑顔だった。大黒柱の大栄利哉捕手(2年)がけがの影響で先発を外れる中で奮闘。5回までは0-0のロースコアで競り、7回を終えて0-4となってからも笑顔が絶えなかった。指揮官は「笑顔にしか運は来ないと思っているので。みんな真剣に笑って、笑顔でやってくれた」。9回、8番で代打出場の予定だった大栄までは走者を出す必要があったが、みんなでつないで打席を回した。「4点差といえども、やっぱりまだわかんないんだなという雰囲気にできたのは彼らの頑張り」と目を細めた。

聖地での戦績は仙台育英(宮城)監督時代の春7勝、夏22勝の合わせて29勝。東北勢では聖光学院(福島)・斎藤智也監督(60)と並び、歴代2位タイ。30勝目は夏以降に持ち越しとなったが「『良いことは先送り』っていうのが人生の哲学なので。それは、それでいいんじゃないかなと思います」と言う。今夏、チームとしては99年以来25年ぶり、自身としては7年ぶりの夏の聖地へ-。先送りにした「良いこと」をつかみに行く。【濱本神威】