豊川(愛知)のモイセエフ・ニキータ外野手(3年)が放った「低反発バット1号」はファウルでは? の声が、一部のネットなどであがった。

阿南光の野手も「バットが変わったのに1人だけバットが変わってないような打球でした」とパワーに驚きながら、右翼ポール際の弾丸ライナーを「ファウルと思った」と証言した。右翼ポールの正面に位置する三塁側で見ていた観客は「きれいにファウルゾーンへ切れていた」と話していた。

高校野球の規則として、フェアかファウルかについて審判員に異議を唱えることは認められないが、阿南光・高橋徳監督(41)は「ちょっとベンチから見ていたら切れたような感じがしたんですけど、それはもうジャッジなので。『確認を』ということで伝令は送ったんですけど」と説明。ベンチではナインに「試合に勝つことが優先。ホームラン打たれたからどうこうではなくて、淡々とアウトを積み重ねていくことが大事」と伝えたという。

昨年末、日本高野連の宝馨会長が高校野球のリプレー検証導入の議論が始まっていることを明らかにした。この日、甲子園で取材に応じた井本亘事務局長は「検討中ですけど、甲子園、地方大会も含めて、都道府県の連盟とも検討を重ねながらどうしていくかという話。まだ結論には至っていません」と語るにとどめた。夏の地方大会の全会場に導入できるかどうかなど設備面の難しさも含め、簡単に結論が出る問題ではない。

現時点でリプレー検証が導入されていない以上、高校野球の規定では、審判が下した判定が最終結果となる。ただ、高速の打球を目で追うことには限界もある。リプレー検証を巡る議論の重要性を、あらためて認識させられた。【アマチュア野球担当=古財稜明】