<高校野球西東京大会:富士3-2大泉>◇14日◇1回戦

 大泉の女子助監督が、初戦敗退に涙した。選手として入部した女子の羽石悠里(2年)が、助監督としてベンチ入り。生還した選手を笑顔で迎えるなど、グラウンドで戦う仲間たちを激励し続けた。試合はあと1点、届かず惜敗。羽石は「助監督として何もできなかった」と、泣きながら悔しがった。

 2歳下の弟が野球をしているのに興味を持ち、小3から野球を始めた。野球部がなかった中学では、ソフトボール部に入部。ところが緩い雰囲気が合わず、「本気で野球をやりたかった。高校では絶対に野球をやろう」と決意した。入試説明会では、2~3校に入部を断られたが、大泉では「入部テスト」を受けて合格。晴れて女子選手として認められた。日々のメニューも男子と同じ。練習試合には左翼手として出場し、男子の投手相手にも打率2割を超える実力だ。木之下敬監督(49)は「彼女は練習も皆勤賞です。デッドボールを食らったことがあるけれど、怖がらないんです」と話し、羽石を助監督としてベンチ入りさせた。

 女子選手は、大会規定で公式戦には出られない。3年生になる来年も、出られるようになる可能性は限りなく低い。それでも、羽石には目標がある。「来年は選手たちにノックをできるぐらいに成長したい。技術とパワーを付けたい」。泣き腫らした顔で、笑顔をつくった。