<小関順二氏が1回戦総括>

 大会トップの150キロを記録した釜田佳直(金沢=3年)は、加古川北戦の5回2死まで完全ペースの快投を見せた。その時点で奪った三振は9個。速くても三振を取れなかったのが昨年秋までの釜田。本格派の卵が見事にふ化。明治神宮大会優勝の吉永健太朗(日大三=3年)も変身を遂げた。ステップ幅の狭さを改善し、下半身主体のピッチングをモノにしたのだ。明徳義塾戦の5失点は、さらに高みに達するまでの陣痛のようなもの。どこまで本格化するのか見守っていきたい。

 低めの制球力と球持ちのよさで京都成章を翻弄(ほんろう)した野村亮介(静清=3年)馬力の高さでスカウトの目をくぎづけにした松田遼馬(波佐見=3年)など、昨年以上に見ごたえのある投手がそろったというのが素直な印象である。

 打者では北川倫太郎(明徳義塾=3年)が吉永との対決で二塁打を放ち、超高校級の評価を定着させた。課題の守備と走塁にも成長が見られ、問題意識の高い選手は細かい部分にも目配りができると感心した。打席に立っただけで空気を一変させた湯本翔太(日本文理=3年)、サヨナラの立役者になった溝脇隼人(九州学院=2年)の俊足など、枚挙にいとまがない。(スポーツライター)