<高校野球南北海道大会:北海5-4駒大苫小牧>◇24日◇決勝

 春夏連続だ!

 全国最多タイだ!

 北海が延長10回で駒大苫小牧に競り勝ち、47年ぶり7度目の春夏連続甲子園を決めた。2点リードの9回に一打サヨナラまで追い上げられたが、10回表2死二塁から9番磯田巧洋中堅手(3年)が左翼線に決勝打。駒苫の粘りをしのぎ、松商学園(長野)の全国最多出場35度目に並んだ。センバツ8強の古豪は、今度は深紅の大旗を目指し、3年ぶりの夏舞台に挑む。

 最後は「普段通りに」をモットーとする北海に、勝利の女神がほほ笑んだ。その普段着を超えるビッグプレーが局面で続出し、勝利をつかんだ。まさかの同点に追い付かれた直後の延長10回表2死二塁。打席には9番磯田が立った。センバツは背番号8だったが「フライを上げることが多く、打てなかったので」と、平川敦監督(40)は奮起を促す意味で17番に変更。そんな男が意地を見せ、決勝打を放った。「しっかりとチームに貢献したかった」。高めの直球を左翼線ギリギリに運び、守備の男が打撃で勝利を呼び込んだ。

 2点リードで迎えた9回裏、駒大苫小牧に怒とうの勢いで同点にされても、選手は1球に集中し、落ち着いていた。昨秋の明治神宮大会、今春のセンバツで全国レベルを経験。その財産が、ここ一番で生きた。

 二塁手・川崎の2度にわたる超美技も、無心のプレーから生まれた。駒苫おなじみのマーチングバンドに相乗する攻撃にも冷静だった。1-1の4回裏2死三塁のピンチで、一、二塁間の痛烈なゴロをダイビングキャッチ。6回にも中前に抜けそうな打球を、横っ跳びで処理した。「(4回は)あそこで点を取られると相手の流れになる。グラブの先っぽに入りました」と川崎。「あのプレーは大きかった」と平川監督も舌を巻いた。

 秋の神宮では、優勝した日大三(西東京)に敗退、体とパワーの違いに圧倒された。冬場はもう1度、体づくりから始めた。春は甲子園8強に進出したが、準々決勝で九州国際大付(福岡)の打撃力に屈した。平川監督は「夏までには打線を鍛えたい」と課題を挙げた。そしてもう1つ、夏までの宿題としたのが投手を含めた選手層を厚くすることだった。

 打線は、センバツで結果を出した石川をトップバッターに抜てきし、センスのある松本を3番に据え、勝負強い川越を4番に。札幌地区予選ではチャンスで面白いように松本、川越に打席が回り、2人もそれに応えてきた。投手陣も玉熊に加えて同じ2年生右腕の西村が台頭、準々決勝の苫小牧中央戦を1人で投げ切った。

 夏は全国最多タイとなる35度目の甲子園。通算7度目の春夏連続出場と、メモリアルVにナインもファンも酔った。「まずは1つ1つ。そして、春のベスト8以上を目指したい」と平川監督。いつも堅実な口ぶりの指揮官の後、ヒーローインタビューのお立ち台に上がった殊勲打の磯田が、声高らかに宣言した。「全国優勝を目指します」。平川監督は「おいしいところだけ取りやがって」と優しく笑った。【中尾猛】

 ◆北海

 1885年(明18)創立の私立校。生徒数は1087人(女子502人)。野球部は1901年創部、部員数89人。甲子園は春12度、夏は35度目の出場。OBに陸上の故南部忠平氏、元ヤクルト監督若松勉氏。所在地は札幌市豊平区旭町4の1の41。北明邦雄校長。

 ◆Vへの足跡◆

 

 

 ◇札幌地区大会2回戦11-1札幌旭丘3回戦6-2札幌啓北商代表決定戦9-0札幌琴似工◇南北海道大会準々決勝6-2函館大有斗準決勝7-0苫小牧中央決勝5-4駒大苫小牧